ディズニーとプロパガンダ

こんにちは。M2の尚です。先日、研究室の陳さんにディズニーシーに連れて行ってもらい、とても楽しい時間を過ごしました。しかし、皆さんはご存知でしょうか。実は、多くの人に夢を与えるディズニーが、プロパガンダ映画も多数制作していました。今回は、特に印象に残っているアニメーション短編映画作品『総統の顔(Der Fuehrer’s Face)』(1943年1月1日公開)について紹介します。

物語の主人公はドナルドダックです。ちなみに、1941 年から 1945 年にかけて、ディズニーは数多くのプロパガンダ映画を制作しましたが、ミッキーはほとんど出演せず、代わりに同じく看板キャラクターのドナルドが多くの作品に登場しました。

映画はドナルドが簡素な家で眠っているところから始まります。朝から行進しながら軍歌を歌っていた軍人たちに無理やりに起こされたドナルドは、ヒトラー、昭和天皇、ムッソリーニの肖像画にナチス式の敬礼をし、軍服に着替えます。朝食では、金庫に隠しておいたコーヒーバッグで淹れたコーヒーと、「ベーコンエッグの香り」の香料の匂いを楽しみながら、ノコギリで切らなければならないほど硬いパンをかじっていました。

朝食後、ドナルドは職場である弾丸製造工場へ向かい、1日の仕事を開始します。ドナルドは工場でベルトコンベアから流れてくる弾薬のネジを締める仕事に従事し、途中で流れてくる大量のヒトラーの肖像に対して「ハイルヒトラー!ハイルヒトラー!」と一つ一つ敬礼しながら作業を行います。長時間の残業と厳しい監視のもと、少しでも愚痴をこぼすと刃物を突き付けられます。

出典:ウォルト・ディズニー「総統の顔」(1942)

精神的に追い詰められるドナルドは叫びながら、精神に異常をきたしてしまいました。そのままドナルドは空想に飛び込んでしまい、様々な砲弾が行き交う世界に迷い込み、爆発に巻き込まれました。

精神崩壊の末見る悪夢から目覚めたドナルドは、部屋の壁に映るシルエットをヒトラーだと勘違いし、慌てて敬礼しようとしますが、振り向くとそれが実は自由の女神像のミニチュアであることがわかりました。安堵したドナルドは、思わずに自由の女神像にキスをして、像を抱きしめながら「アメリカ国民で良かった」と心から喜びました。

ディズニーのイメージとは大きく異なるプロパガンダ作品ですが、ユーモアとファンタジーを交えた表現方法が魅力的で、第 15 回アカデミー賞のアカデミー短編アニメ賞を受賞しました。また、音楽もかなり特徴的で、リズムの良い「ハイル!ハイル!」というかけ声と、一度聞いたら耳に残るキャッチーな音楽が、リズムが脳に刻み込まれる効果を持ち、視聴者に強い印象を残します。

アカデミー賞を受賞したにもかかわらず、日本での公開やメディアへの収録がされていなかったこの映画は、今は簡単にアクセスできるため、7分52秒の短編でもあり、手間をかけずにサラッと見ることができるので、興味のある方はぜひ見てみてください!