こんにちは。今回のフィールドレビューを担当いたします。博士課程の朱です。
少し前のことですが、夏休み中に行ったベトナム・ハノイでの資料調査について報告いたします。8月に1週間ほど、ハノイとその近辺で博物館や美術館などをまわり、ベトナム戦争に関する資料を収集しました。
ハノイの博物館
ハノイ市内ではベトナム戦争関連の博物館が数多くあります。今回はホー・チ・ミン博物館、ホアロー刑務所、ベトナム国立歴史博物館など、観光客にも人気がある博物館以外に、ベトナム戦争と関連性が高いホー・チ・ミン足跡博物館、B52戦勝博物館、南北戦争博物館、メディアと関連性が高いベトナムプレスミュージアムなど、さまざまな博物館や記念館に行きました。
ホー・チ・ミン博物館やホアロー刑務所など、観光客がよく訪れる場所では、展示品の説明文書に英語やフランス語などがつけられているので、問題なくその内容を理解できます。ホアロー刑務所では日本語による音声ガイドがあり、さらに、ホー・チ・ミン博物館のショップでは、英語だけではなく、中国語や日本語に訳された本もあります。しかし、観光客が少ない場所や市の中心部からすこし離れている博物館では、展示品の説明文書や館内で放送される映像などはベトナム語のみになっている場合が多いです。
また、館内のエアコン事情も観光客の数と関係しています。ハノイの博物館では館内のエアコンがあまり効いてなくて、多くは扇風機と合わせて使っています。ただし、その扇風機の「使い方」は場所によって違います。ホー・チ・ミン足跡博物館はハノイ市の中心部から車で40分ほどのところにあります。観光客が少なく、1時間半ほど滞在しましたが、その間では私と通訳の方以外、誰も来なかったです。館内では扇風機だけありましたが、オフの状態でした。スタッフがたった一人で、私たちの見学ルートに合わせて、部屋ごとに電気をつけてくれました。しかし扇風機はなんと、セルフサービスでした。私たちは自分のペースで扇風機をつけたり切ったりして見学しました。ただし、真夏のハノイの室内では扇風機だけではほぼ効果を感じず、とても蒸し暑かったです。博物館を出た瞬間、不思議にも涼しさと感じました。また、南北戦争博物館では扇風機を含めて、電気もなんとセルフサービスでした。その自由さに少しびっくりしましたが…
ハノイ市内の風景
植民地時代の影響で、ハノイ市内ではいまでもフランス風の建築物が多く残っています。ベトナム国立歴史博物館をはじめ、多くの博物館はフランス植民地時代の建物をそのまま使っています。また、現在では外国人観光客に人気の高級ホテル、ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイは、1901年のフランス植民地時代に創設され、ベトナム戦争期間中はトンニャットホテルという名前で外国人宿泊客を受け入れていました。当時、多くの報道機関がこのホテルを拠点として取材活動を行っていました。ホテルのスタッフによれば、当時の旧トンニャットホテルは防空壕(ごう)を設置するなどでアメリカによる空襲に備えていました。ホー・チ・ミン主席の住所に次ぐ、ハノイで2番目に安全な場所だと言われています。
ベトナムが独立してからすでに50年近くがたちましたが、市内の書店では今でもベトナム戦争に関する書籍が多く並んでいます。フランス軍とのディエンビエンフーの戦いやアメリカによる空襲などを紹介している本、ホー・チ・ミン主席の生涯を紹介している本などが多く見られます。英語の訳本もありますが、多数はベトナム語で書かれています。
ハノイの交通事情
交通に関しては、観光客のほとんどはタクシーを利用していると思いますが、ハノイ市内を走るバスは実はとても利用しやすいです。グーグルマップで路線や利用できるバスが調べられるので、言葉がわからなくても大丈夫です。下車の時は日本と同じボタンを押すタイプですが、バスストップ名の音声や文字による案内がないです。ただし、バスには必ず乗務員がいて、彼らに事前に行きたい場所を伝えておけば、着いたら知らせてくれます。外国人に優しい取り組みです!
ハノイ市内では、バンコクや台北と似ていて、バイクがたくさん走っています。横断歩道が設置されている場所は少なく、現地の人たちは信号も横断歩道もないところからそのまま道路を渡す場合が多いです。最初はとても怖かったですが、慣れれば意外とスムーズに渡れます。バイクや車は歩行者を待つのではなく、前に進みながら歩行者をうまくよける感じです。
ベトナム料理
私はベトナム料理が大好きで、東京にいるときはよくベトナム料理を食べに行きます。今回は本場の料理をとても楽しみにしていました。フォーやバインミーはもちろん、東京ではなかなか食べられない現地の人気料理、ベトナム風焼き魚もとてもおいしかったです。
ベトナムに行ったのは今回が初めてで、最初は少し不安もありましたが、とても楽しい一週間でした!また機会があればぜひホーチミン市やフエなど、ほかの歴史のある都市にも行きたいと思います。