こんにちは、今回のフィールドレビューは修士課程の馬琳が担当いたします。東京オリンピックは無事に終わりました。みなさんはどの競技を見ましたか?
最近、オリンピックはSNSで話題となって、どこでもスポーツの話が耳にします。それがきっかけで、スポーツにあまり興味のない私は、それに関する映画、番組などをいくつか見ました。ここで《棒!少年(Tough Out)》という中国のドキュメンタリー映画を紹介したいと思います。
このドキュメンタリー映画は去年中国で上映しました。タイトルとポスターから見れば、中国の少年野球の現状を紹介するものであろうと思いましたが、映画の中に扱われたテーマはスポーツだけに止まっていないです。ドキュメンタリーには、北京の「強棒(フルスイング)天使」という少年野球チームのストーリーが記述されました。
このチームは中国の元トッププロ野球選手孫嶺峰さんによって創立され、孫さんが各地の恵まれない家庭から引き取った孤児、貧困に苦しむ子供たちで構成されます。「強棒(フルスイング)天使」は野球チームより、施設に近いと思います。子供たちはここで野球訓練を受けるのみならず、学校教育も受けて、日々に共同生活します。孫さんがこのチームを立ち上げる一つの理由はもちろんプロ野球選手を育てるためですが、それより重要なのは、プロ選手にならなくても、子供たちに野球を通して推薦入学で高校、大学に進学する機会を提供するということです。
ドキュメンタリーで一番印象深いのはチームメンバーの馬虎(12歳)という人物です。馬虎君は母親が行方不明で、父親が出稼ぎに出たため、地元でおばあさんと二人で暮らしていました。生活に窮することで、孫さんは彼を北京に連れてきました。野球チームに入ったら、メンバーたちと仲良くなれず、いつも喧嘩で施設の先生に叱られます。
彼はドキュメンタリーの中に意味深いセリフを述べました。「私の名前は馬虎です。交差点で道に迷いました。そして、『強棒(フルスイング)天使』に拾われました。」馬虎君みたいな、人生に迷って、未来が見えない子供は野球をきっかけに、「普通」の子供を同じように教育を受けて、また、人生の目標を見つけました。野球によってこそ、彼らはやりたいことがわかるようになりました。
このドキュメンタリーを見て、改めてスポーツ・競技は何をもたらしたかについて考え直しました。映画にはこういうエピソードがあります。子供たちは誘われてアメリカで行われた世界大会に参加しました。野球場でチームの勝利のために頑張っている姿は、北京にくる前に何の目標もなくて、だらだらと生活していた様子と対照的です。映画の中の恵まれない家庭に生まれた子供たちにとって、野球は彼らの人生の可能性を広げる契機だと言えるでしょう。これこそスポーツの意義ではないかと考えております。
以上、自分の感想を書きましたが、実際に、映画には他にも面白いところが多くあります。興味のある方は、ぜひご覧ください。