戦争映画からみる人間のあり方

こんにちは、修士1年の田口です。初めてのフィールドレビューで何を書こうか迷っていたのですが、夏ということでおすすめの戦争映画を紹介しようと思います。

突然ですが、皆さんは『人間の條件』と聞いたときに何を思い浮かべますか?

私は最初ハンナ・アーレントの『人間の条件』を思い浮かべたので、「あの本をどうやって映画にしたのだろう?」と、とんちんかんなことを考えてしまいました。もちろん映画『人間の條件』はハンナ・アーレントの著作を映像化したものではありません。本当の原作は五味川純平の小説『人間の條件』で、映画の第一部と第二部は1959年に公開されています。

ここで薄々お気づきかもしれませんが、実は映画『人間の條件』は全6部(上映は2部ずつ)で構成されており、上映時間が合計約10時間の超大作なのです。


出典:松竹株式会社ホームページ( https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/03208/

この映画は軽い気持ちで見るにはあまりにも長いのですが、「長すぎて途中で見るのをやめちゃいそう」と思っている方にこそおすすめしたいと考えています。かく言う私も最初はおそるおそる見始めましたが、しばらくこの映画のことばかり考えてしまうくらいに引き込まれました。

この映画で一番印象に残ったのは、やはり主人公の生き様です。主人公は仲代達矢演じる梶という男性で、強い信念を持つが故に戦争に翻弄され苦悩することになります。抵抗すればするほど戦争に飲み込まれてしまう梶の姿を見ていると、題名『人間の條件』とは一体何を指し示しているのか考えずにはいられません。ここで言われている人間とは何か、そして人間を人間たらしめているものは何かを考えるのもこの映画の醍醐味なのではないでしょうか。

またネタバレになってしまうので詳細は言えませんが、正直私はこの映画のラストに納得できていません。どう考えてもあの結末になるしかなかったと頭では理解しているのですが、たとえ希望や救いがないのが戦争だったとしても、最後に少し救いが欲しかったと思ってしまいます。

ここまで色々と書きましたが、他にも面白い点や気になる点がたくさんあるので、興味のある方はぜひ見てみてください。私はまだ原作の小説を読めていないので、今年の夏こそ手を伸ばそうと考えています。

これからも暑い日が続くと思いますが、皆さんも思い思いの夏をお過ごしください。