BOOK『NNNドキュメント・クロニクル』

丹羽美之編『NNNドキュメント・クロニクル 1970-2019』が、2020年2月、東京大学出版会より刊行されました。

NNNドキュメントは日本テレビ系の29社が制作し、毎週日曜日の深夜に放送しているドキュメンタリー番組です。1970年の放送開始以来、半世紀にわたって現代日本のあり方を問い続け、そこに生きる人々の姿を見つめてきました。民放・NHKを含めて、最も長い歴史を持つドキュメンタリー番組です。

本書は、このNNNドキュメントの半世紀におよぶ歴史を集大成した待望のクロニクル(記録集)です。NNNドキュメントはこの50年間、何を伝えてきたのか。番組の放送記録とテーマ別セレクションによって、類のない内容でNNNドキュメントの全貌を明らかにしています。

東京大学出版会史上最大級となる1300ページを超える厚さ、24000円という椅子から転げ落ちそうな価格など、いろいろな意味で破格な本ですが、テレビ研究の新たな地平を切り拓く画期的な内容に仕上がっています。グラフィックデザイナー白井敬尚さんによる迫力ある装丁も素敵です。興味のある方は、ぜひご覧ください。

メディア掲載情報(2020年9月7日追記)
山梨日日新聞(朝刊) 2020年3月1日
民間放送 2020年3月13日
読売新聞(夕刊) 2020年4月13日
民放 2020年5月号
放送レポート 2020年5月号
GALAC 2020年7月号
東京新聞(朝刊) 2020年6月7日
佐賀新聞(朝刊) 2020年6月9日
南日本新聞(朝刊) 2020年6月13日
週刊読書人 2020年9月4日号

丹羽美之編『NNNドキュメント・クロニクル 1970-2019』
東京大学出版会、ISBN978-4-13-050199-6、
発売日:2020年02月06日、判型:A5、ページ数:1344頁、本体価格:24000円

主要目次

はじめに(丹羽美之)

真夜中のジャーナリズム――NNNドキュメント(丹羽美之)
NNNドキュメントの50年――”時代を映す鏡”(菊池浩佑)
時代(いま)を切り取り,古(いにしえ)として遺す(谷原和憲)

第1部 テーマで見るNNNドキュメント
[農村] 米農家たちの闘い(松山秀明)
[沖縄] 議論する人々の島(松下優一)
[公害] 「レイト・カマー」から見た水俣(西田善行)
[原発] 核被害の経験をつなぐ(瀬尾華子)
コラム 出演者の背中を押す撮影(堀越 伶)
[ジェンダー] 境界を越えること,その苦悩と葛藤(伊藤 守)
[貧困・格差] 声をあげる労働者たち(李旼胄)
[外国人・移民] 移民政策なき移民大国で(章雯晶)
コラム 「対面」という方法(李美淑)
コラム マスメディアに傷つけられた人々(荒井 俊)
[教育] 教育問題を地域社会に取り戻す(小川豊武)
[病い] 患者たちの物語(加藤美生)
[障害] 共に生きる社会へ(丸山友美)
コラム アーカイブから老いを考える(近藤和都)
コラム 出版人から見た映像の力(渡辺千弘)
[戦争] 戦後X年特集に見る戦争観(藤田真文)
[原爆] 「ヒロシマ」を複数化する(鈴木麻記)
[アジア] アジアの戦争被害(丁智恵)
コラム 磯野恭子と中国残留婦人(王楽)
コラム これはドキュメンタリーなのか?(今枝翔太郎)
[政治] 「わたし」たちの民主主義(森田のり子)

第2部 放送記録 2465回の軌跡
1970–1979年
制作者コラム
スタートは1970年(氏田 宏)
70年1月001のドキュメントの音効(髙田暢也)
何故撮り続けることが出来たのか(池松俊雄)
瀬戸内海は,今日も碧いか,穏やかか(上原冨士夫)
《激動する沖縄》の30年(森口 豁)

1980–1989年
制作者コラム
目を閉じて見えるあれこれ(杉山平和)
社会の「空白」を映し出すNNNドキュメント(向井嘉之)
核の平和利用という幻想(片野弘一)
初演出作品の思い出(稲田裕之)
Nドキュの塔は高くそびえ(伊藤清隆)
見てしまった者の責任(武居信介)
核はいらない 核まいね(黒滝久可)

1990–1999年
制作者コラム
“仲間”に恵まれて(竹島章記)
午前1時のお迎え(大脇三千代)
『我是政治難民』制作にあたって(高岸 勝)
『プルトニウム元年』の時代(上重五郎)
NNNドキュメント93『47年目の戦災 ~大分市の不発弾爆発事故~』(10月31日)(園田雅之)
NNNドキュメントと私(西文俊)
ドキュ7(佐藤幸一)
時空を超え「思い」を伝える(河野信一郎)

2000–2009年
制作者コラム
犯罪被害者・声なき声を届けたい(堀川雅子)
Nドキュとの出会い(芝田和寿)
25本の花を咲かせた,ある言葉(金本進一)
小さな声と正義(安田(重森)由佳)
志布志事件「嘘ひいごろ」 Nドキュへの思い(蛭川雄二)
Nドキュで試行錯誤した”貧困報道”(水島宏明)
「伝えたい」の焦点(佐々木聰)
見過ごすな ”被害者”の「痛み」(征矢野泉)

2010–2019年
制作者コラム
NNNドキュメントとともに35年(遠藤 隆)
モデル農村を見つめた30年(石黒 修)
あの日を伝え続けることが未来の命を守る教訓(渡邊 司)
Nドキュから生まれたライフワーク”X年後”(伊東英朗)
地方の片隅で生きる(岩本千尋)
ドキュメント45は福島をどう描いているだろうか(佐藤 崇)
共感の先にある,同期.(有田泰紀)