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イメージは、どこまで届くのか

作者: Matsumoto Atsushi | 2018年10月02日Posted in: フィールドレビュー

今回のフィールドレビューでは、博士課程の松本が来週(2018/10/10)に参加するイベントを紹介します。イベントのタイトルは「めぐりめぐる記憶のかたち イメージは、どこまで届くのか?」です。

このイベントは、Tokyo Art Research Lab(以下、TARL/主催:アーツカウンシル東京)が行う「ディスカッション」という対話シリーズの一環として実施されるものです。TARLとは、アートプロジェクトの担い手を対象にした、学び合いのプログラム。ホームページには「人材の育成、現場の課題に応じたスキルの開発、資料の提供やアーカイブなどを通じ、社会におけるアートプロジェクトの可能性を広げることを目指しています」とあります。

イベント当日は、原爆の図丸木美術館学芸員の岡村幸宣さんと、不肖ながら松本が話題提供し、会場の皆さんとともに議論する予定です。

岡村幸宣さんの著書のひとつ、『《原爆の図》全国巡回―占領下、100万人が観た!』(新宿書房、2015年)は、画家の丸木位里と赤松俊子が共同制作した連作「原爆の図」がいかに生まれ、戦後の占領下においてどのように全国を巡回し、多くの来場者の目の触れることになったのかを、関係者の証言や資料を読み解きながら追いかけた書籍です。「担い手それぞれの思いはさまざまで、『政治』も『大衆』もひとくくりにできるものではなかった」時代に、巡回展がどのように行われたのか(p.24-5)。このダイナミズムを丹念に描かれた岡村さんが当日どのようなお話をされるのか、とても楽しみです。

一方、松本は、戦後日本にもっとも早くやってきて、戦後日本をもっとも長く生きたアジアゾウのはな子の69年の生涯を、市井の人々が撮った記念写真(私的記録)と、撮影された当日に記された飼育日誌(公的記録)で辿った『はな子のいる風景 イメージを(ひっ)くりかえす』(武蔵野市立吉祥寺美術館、2017)の制作過程についてお話する予定です。

【参考】
小原真史さん(キュレーター/映像作家)のブックレビュー(9/27)

Kuandu Museum of Fine Arts(台湾)での展覧会(10/5-2019/01/06)

台湾で長らく飼育されていた、世界最長寿記録をもつアジアゾウ、林旺の記録と記憶を集めるプログラム

前半の2つの話題をふまえて、おそらく後半のディスカッションでは、2つのポイントにフォーカスされていくのではないかと考えています。すなわち一つ目は、『記憶を巡回させる仕組み』について。二つ目は、経験の当事者ではない「非-当事者」が「非-当事者」のまま「当事者」になることについて。この2点は、経験を介在しないコミュニケーションの可能性と困難さについて、さらに言い換えれば、それはまさしく「メディア」の原義そのものを考察することになるでしょう。

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ディスカッション1|めぐりめぐる記憶のかたち
イメージは、どこまで届くのか?

日時:2018年10月10日(水)19:00-21:00(18:30開場)
会場:ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])

参加費:無料
定員:30名(事前申込制/先着順)
ゲスト:岡村幸宣 (原爆の図丸木美術館学芸員)
   :松本篤 (NPO法人remoメンバー)
モデレーター:佐藤李青 (アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

詳細・お申し込みはこちら

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どのような議論が会場で交わされるのか。ぜひ多くの方のご来場をお待ちしています。