山形国際ドキュメンタリー映画祭 体験記

こんにちは。今回のフィールドレビューは、博士課程の森田が担当します。10月5-12日に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭について、写真を中心にご紹介します。

山形国際ドキュメンタリー映画祭は、1989年から隔年で開催されているアジア圏で最大規模のドキュメンタリー映画祭です。私は10年以上前にはじめて参加して以来、その魅力にすっかり引き込まれ、毎回必ず参加しています。現在、ドキュメンタリー映像の研究をするようになった一つのきっかけと言える存在です。

今年もコンペティション部門からマニアックな特集まで、多彩なプログラムが組まれました。私は7日から10日までの3泊4日の日程で参加しました。

山形駅の改札を出ると、さっそく映画祭ブースが出迎えてくれました。

シネコンの「フォーラム山形」でも、2スクリーンが映画祭用になります。ここではアジア圏の新進作家のコンペ部門『アジア千波万波』が上映されています。

『アジア千波万波』で上映された『自画像 47kmに生まれて』の章梦奇監督によるQ&A。即席のライブパフォーマンスも繰り出されて盛り上がりました。

こちらは、「政治と映画 パレスティナ・レバノン ’70-80」や「フレディ・M・ムーラー」などのマニアックな特集を展開していた市民会館の小ホール。

元日本赤軍でパレスティナで活動されていた足立正生監督の貴重なトークです。パレスティナやレバノンから見る社会は、日本から見るそれとはまったく違うと実感しました。

レバノンの有名なジョスリーン・サアブ監督とのスカイプQ&A。特別上映された『昔々ベイルートで』は、アーカイブフッテージを駆使してベイルートの歴史を浮かび上がらせる、とても素敵な作品でした。

こちらは、10年前に亡くなられた佐藤真監督をめぐる特集の中で、映画研究者のマーク・ノーネス先生が担当されたトークイベント。過去の貴重な映像とともに、佐藤監督が海外にもたらした影響について刺激的なお話を聞くことができました。

映画を見終わった後、参加者が集まる「香味庵クラブ」もこの映画祭の名物です。監督からスタッフ、観客まで自由に出入りして交流できる空間で、地元の青年会の方々が運営してくださっています。

蔵を活用した「香味庵クラブ」の建物。深夜までたくさんの人が集っています。

そんなわけで、あっという間に3日間が過ぎ、今年も充実した時間を過ごすことができました。ここで紹介した以外にも、インターナショナルコンペティションやアフリカ特集などにも足を運びました。山形国際ドキュメンタリー映画祭の魅力は、単に上映作品が面白いだけではなく、スタッフの方々の姿勢や、集まる作家や観客の個性、それらが出会って生まれる場の雰囲気にあると思います。参加するたびに、ドキュメンタリー映像の可能性を信じることのできる映画祭です。

みなさんもぜひ、次回は参加してみてください。