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資料の宝庫 演劇博物館

作者: Morita Noriko | 2017年2月06日Posted in: フィールドレビュー

こんにちは、修士課程2年の森田典子です。私は先日まで、修士論文の執筆に取り組んでいました。今回は、その間に何度も通った重要な場所、早稲田大学の坪内博士記念演劇博物館について紹介したいと思います。

坪内博士記念演劇博物館は、坪内逍遥の古稀とシェークスピア全集の翻訳完成を記念して、1928年に設立されたという非常に歴史のある施設です。公式サイトによれば、演劇分野を中心にして、錦絵46,800枚、舞台写真400,000枚、図書255,000冊、チラシやプログラムなど演劇上演資料80,000点、衣装・人形・書簡・原稿などの博物資料159,000点といった膨大なコレクションを有しています。展示室では、これらの所蔵資料を生かした新旧さまざまなテーマの展覧会やイベントなども活発に開催されています。

なぜ、この博物館に私が何度も通うことになったのかというと、実はこの場所には演劇だけではなく、映画関係の文献資料が豊富に取り揃えられているからです。とくに戦前期を含む古い雑誌や書籍に強く、正直に言って東大図書館にもないような珍しい雑誌などが所蔵されています。しかも、ここの図書閲覧室では、早稲田大学の学生であるかどうかにかかわらず、これらの貴重な資料を無料で閲覧することができます。映画研究者にとって、都内でも有数の頼りになる施設です。

私はこの1年間、戰時期の日本に存在した文化映画というジャンルの製作活動について調べていましたが、まさにその分野の専門誌である『文化映画』や『文化映画研究』から、より総合的な映画雑誌である『キネマ旬報』や『映画評論』まで、この演劇博物館に通ってひたすら閲覧し、研究テーマに関わる資料を収集しました。これらの資料を時系列に沿って読み込んでいくことで、論文の展開も自然と導かれていったように感じます。こうした直接的な研究対象である一次資料と、論文の理論を支える先行研究などの二次資料とをどのように組み合わせて考察していくかが、歴史的な研究に取り組む上で重要になるということを、私は今回学びました。とても面白かったのは、二次資料から得た視点を持って一次資料に向き合った時に、それまで見えなかったものが見えてくるという体験でした。その発見をどこまで論文に生かせたかと言うと、まだまだ修行中ではありますが・・・

ともかく、古い文献を通してその時代の空気に触れることのできる演劇博物館は、演劇や映画はもちろん、過去の芸術文化全般に関心のある方におすすめです。16世紀のイギリスの劇場を模して設計されたという築90年近くになる建物を見るだけでも楽しめます。ぜひ一度、訪ねてみてはいかがでしょうか。