「悲劇の泰緬鉄道」視聴レポ

2016年10月27日(木)、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビ・アーカイブプロジェクト第20回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。

今回は、「NNNドキュメントとの対話」の第3回、「終わらないアジアの『戦後』を見つめて」と題し、1995年に日本テレビで放送された「NNNドキュメント’95 悲劇の泰緬鉄道」を取り上げ、この番組のディレクターを務めた鈴木鉄郎さん(元日本テレビ)をゲストとしてお迎えしました。

1995年は戦後50年の節目の年であり、マスメディアでは終戦記念日特集が数多く組まれました。NNNドキュメントでも、この夏、様々な角度から戦争・戦後を振り返る番組が放送されました。この番組は、アジアの終わらない「戦後」を見つめ、戦争中に泰緬鉄道建設に関わった様々な立場の人々を取り上げていました。

上映後は、この番組のディレクターを務めた元日本テレビの鈴木鉄郎さんに、番組制作のきっかけや、70年代頃の「ドキュメント」の制作当時のエピソードについてお聞きすることができました。また、会場にはこの番組のスタッフであり鈴木さんのご友人でもある高田暢也さん(音効担当)、佐藤幸一さん(編集担当)もお越し下さり、質疑応答の中で当時のエピソードなど非常に興味深いお話もお聞きすることができました。

また今回は「NNNドキュメントとの対話」の第3回目ということで、丁智恵(本学特任研究員)からの問題提起の試みも行いました。NNNドキュメントでは開始当初から戦争関連のドキュメンタリーが数多く放送されました。その中で様々なテーマが取り上げられましたが、90年代の特徴としては、アジアへと視点が広がったことが挙げられます。また、報道ドキュメンタリーだけではなく、長年の間幅広いジャンルの番組制作を行ってきた鈴木さんが、約20年ぶりに取り組んだ報道ドキュメンタリーには、その間に培われた氏の経験と知恵が数多く生かされていました。

会場には、大変多くの方々がお越しになり、戦後70年を迎えた今、終わらないアジアの『戦後』がどう伝えれてきたのか、また私たちが過去の番組から何を学ぶことができるのか、議論することができました。

「みんなでテレビを見る会」では、今後も、「NNNドキュメントとの対話」シリーズを継続して開催し、NNNドキュメントの名作や話題作を紹介すると同時に、制作者と研究者、また学生たちが場を共にし語り合える機会を積極的に設けていきます。

今後ともみんテレをどうぞよろしくお願いします。