「浪江町警戒区域」視聴レポ

2012年3月23日、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビアーカイブ・プロジェクト第3回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。

第3回は、「東日本大震災とテレビ」をテーマに、2011年5月にNHKで放送された『浪江町警戒区域 福島第一原発20キロ圏内の記録』を上映しました。浪江町は、福島第一原発事故の影響で、その全域が警戒区域あるいは計画的避難区域に設定された街です。住民の方々は、故郷からの避難を余儀なくされました。このドキュメンタリーには、津波で建物が押し流され、人気もなくなってしまった町の様子が克明に記録されています。

上映後は、この番組を制作した福島広明さん(NHKエンタープライズ)に、お話しいただきました。浪江町の人々と信頼関係を結んでいった過程、立ち入り禁止の警戒区域のなかで撮影を行う様子などが当時の時系列に沿って語られました。こうして撮影された映像は、当初は『クローズアップ現代』のなかでの2分程度の使用に留まっていたそうです。しかし「記録の全てを浪江の人に見せたい」という想いから、約1時間の番組を制作し、福島向けのローカル放送、さらに全国放送に至ったとのことでした。福島さんのお話は、当時の様子やご自身の心情など微に入り細に渡り、とても臨場感のあるものでした。

最後に福島さんが、「自分にとっても思い入れのある番組を、このような形でみなさんと見ることができて嬉しい」と仰っていたのが印象的です。自分ひとりでは知らないままで終わってしまう番組を、多くの人と共有していくところに、この会の面白さがあるのではないかと思います。

当日はあいにくの雨でしたが、30名程の参加者が集まり、ディスカッションも大いに盛り上がりました。第4回の「みんなでテレビを見る会」にも、どうぞご期待ください。