『エルピス』:テレビドラマが語るテレビ局の裏側

こんにちは。今回のフィールドレビューを担当する修士一年の尚です。

昨年のこの時期に放送された長澤まさみさん主演のドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』(カンテレ・フジテレビ系)が最近、再放送されることになりました。これを機に、私は1年ぶりにこのドラマを見返すことにしました。やはり何度観ても心に響く素晴らしい作品だと改めて思いました。

出典:関西テレビ放送『エルピス-希望、あるいは災い-』公式サイト(https://www.ktv.jp/elpis/)

舞台はテレビ局。スキャンダルによりエースの座から転落し、深夜の情報バラエティ番組のMCに回されたテレビアナウンサー浅川恵那が、新米ディレクターの岸本拓朗や官邸キャップの元恋人斎藤正一とともに、連続殺人事件の冤罪疑惑を追う物語です。エンドロールに掲載された参考文献からは、このドラマは足利事件など実在する事件から着想を得て制作された社会派ドラマであることがわかります。

正義とは何か、その答えは人それぞれです。声をあげる人が変人扱いされるような世の中で、正しいことをしようとする気持ちと、権力を敵に回すリスクへの恐れという相反する感情の中で生きてきた主人公たちが、それぞれ自分の中の正義を貫きながら、自分の価値を取り戻そうとしています。

作られた冤罪、報道されない真実、黙殺される声なき声…マスコミの「忖度」が話題となる今、冤罪、世論、権力組織、マスコミの役割について深く考えさせられるこのドラマは、権力の隠蔽と腐敗、そしてテレビ報道のあり方に鋭いメスを入れる、見応えのある作品です。興味のある方は、ぜひ再放送を機にご覧になってください!