こんにちは!今回のフィールドレビューは博士課程の柳がお届けします。2021年も残り1ヶ月になりました。最近はどこもクリスマスの装飾できれいに飾られ、コロナ禍でも年末の雰囲気で賑わっています。そこで今回は、日本のクリスマスについて少し話したいと思います。
私が初めて日本でクリスマスを迎えたとき、最も驚いたのは「なぜ日本人はクリスマスにチキン(とくにケンタッキー)を食べるのか」でした。これに衝撃を受けたのは私だけではありません。もうすでにCNNやBBCをはじめとする多くの海外メディアが「日本人はなぜクリスマスにケンタッキーを食べるのか」について記事を書いていました。
ケンタッキーのクリスマスキャンペーンは今から約50年前の1974年から始まりました。1985年にはクリスマスのパーティバーレルが発売され、あっという間に「クリスマスにはケンタッキー」という習慣が定着されていきます。ケンタッキーがクリスマスキャンペーンをするようになった理由や経緯については諸説ありますが、日本社会での「クリスマス=ケンタッキー」というイメージの普及にケンタッキーのCMが多大な影響を与えたことは間違いありません。
1980年代のケンタッキーのクリスマスCMには出演者が「ケンタッキークリスマス!」、「チキンクリスマス!」を連呼しています。この80〜90年代のCMをみて気になるのがその背景です。まるでアメリカの家庭のように暖炉があって、大きなクリスマスツリーが家の中にあって、食卓の上には欧米風の食器とキャンドルライト…。ケンタッキーが積極的に「アメリカ的」なイメージを活用し、「クリスマスにはチキンを食べる」というメッセージを作っていたことがわかります。
2000年代になるとケンタッキーのクリスマスCMはシンプルになります。竹内まりやの「すてきなホリデイ」の曲が流れ、ケンタッキーを食べるだけ。これが今年まで20年近く続いています。初期のクリスマスCMが空白だった日本のクリスマス文化をアメリカ的なイメージで作り上げていくものだったのしたら、最近のCMはもう当たり前になったこの文化をシンプルに想起させるだけのメッセージに変わったとも考えられます。
CMとは別の話になりますが、なぜか毎年カーネルさんがこの時期になるとサンタの服装をしていることも個人的には気になるところです(韓国のケンタッキーにはカーネル像もないし、あったとしてもサンタの服は着ません)。大学の近くにある東京ドームのカーネルさんは早くも11月からサンタに扮していました。白いひげのカーネルさん…なんてサンタに似合う格好なんでしょう。今年のCMにはなんとカーネルさんが白いジャケットを脱ぎ、赤いサンタの服を着る姿まで登場しています。サンタの正体は実はカーネルさんだった…を醸し出すような怪しい場面です。
実のことを言うと、私はまだ日本でクリスマスにケンタッキーを食べたことが一度もありません。今年こそケンタッキーにするか迷っています。まだ気が早いですが、みなさんも良い年末をお過ごしください!