新宿の古本市に行ってきました

今回のフィールドレビューは修士1年の劉がお送りします。今日は新宿にある古本まつりへ行ってきました。インターネットの検索で出た情報で、「古本浪漫洲」というロマンチックな名前も面白そうですが、何より新宿の地下街で開催されているので、つい見たくなりました。

もともと古本屋にも古本市にも興味を持っていますが、昔古本屋に入って「スマホ出すな」と怒られ、追い出された経験があるため、「気軽に行ける場所じゃない」となんとなく思ってしまいます。先入観かもしれませんが、知らないまま古本まつりに入ってしまうと、「プロの聖地を軽々と踏み躙ってしまった」という感覚はどうしても消えず、落ち着いて本を探すことはとてもできません。

ただ、場所は新宿の地下街になると話は違います。階段を上がるとドンキホーテの巨大な看板が視野に入り、終わりなく繰り返す軽快な曲が流れてきて、一番「プロの聖地」と遠いところと言えるのでしょう。だから新宿の古本市が好きです。同じ理由で、明日から始まる銀座の古書の市へも行ってみたいと思っています。

実際に行ってみたら、地下街新宿サブナードの一丁目と二丁目の間に古本市がありました。目立ってはいないが、電子スクリーンでポスターが流れていて、わりと迷いなくたどり着きました。

錦絵のカゴを見てみたら、なんと明治時代の錦絵新聞を何枚見つけました!状態は良かったですが、一枚6000円の値段はとても手を出せませんでした。家に戻って調べてみたら、ネットでは平均でも一枚15000円の値段で販売されていますので、今日見たほうはまだまだ安いほうだと改めて感心しました。どちらにせよ、実物が見れたのはラッキーだと思い、後で今日見た内容を学府にある錦絵新聞データベースで探してみようと思っています。

錦絵新聞以外も、面白い本がたくさんありました。1950年代の『アサヒグラフ』はカゴに並んでいて、昭和期の雑誌は他にも幾つかありました。私は結局150円の明治期の教科書一冊と3000円の雑誌『スタア』復刻版を購入しました。学生にとって決して安いとは言えないが、錦絵新聞と比べてみたらなんとなくお得だと感じ、ついに買ってしまいました。

明治時代の教科書について、表紙は抜けてしまいましたが、目次に「尋常小学校国語科児童用教科書」との記述があります。明治34年に印刷されていましたため、時代感を溢れている一冊です。中に台湾、中国(支那)についての紹介があり、当時終わったばかりの日清戦争についても記述がありました。中にある価値観は現代から見るとやや違和感を感じてしまうかもしれませんが、当時の人々の認識を知る重要な資料だと思います。

歴史資料の視点から見ると、150円はBOOKOFFで漫画一冊も買えないかもしれないのに、逆になぜこんなに安く販売されているのかに驚きました。ついでに中国のネットショップで調べてみると、同じ時期(中国では中華民国時代)の教科書は約100元、つまり一冊約1600円で販売されています。

国によって事情は違うし、比較していいても結論は出ないかもしれませんが、値段でものの価値を判断するのは愚かだと思います。いつも読んでいる漫画を何冊減らすだけで過去の人々の価値観についての大切な情報が入手できると考えると、これからもどんどん古本市へ行って、「宝探し」を続くべきだと思ってしまいます。