今回のフィールドレビューはD3の丁智恵が担当させていただきます。私は、先日オーストラリアの首都キャンベラにあるオーストラリア国立大学を訪問しました。その際に、オーストラリア国立フィルム・音響アーカイヴ(National Film and Sound Archive)を訪れたので、この施設についてご報告したいと思います。
NFSAは、キャンベラの中心部にあり、オーストラリア国立大学内に隣接しています。この施設は、映像と音響に関連する記録を収集・保存しており、常設展示室や資料室、映写室、閲覧室などを通じて資料を調査・閲覧することができます。ここに保存されている資料は、オーストラリアの音響や映像に関連する貴重な記録です。
その数は、音響記録は約334,000件、映像は約442,000件、またそれらに関連する文書資料を含む様々な形態の資料は約870,000件にも上ります。コレクションは、映画、音響、テレビ番組、ラジオ番組、先住民族に関連するコレクション、また写真やポスター、台本、衣装などの関連資料、さらには国内で音響や映像の歴史を創り上げてきた人々の口述資料なども所蔵しており、コレクションはホームページ上でも検索することができるようになっています。
NFSA ホームページ:http://www.nfsa.gov.au
建物に入ってみると、なんとびっくり、前回韓国映像資料院を訪問した際のフィールドレビューで大島渚の追悼上映が開催されていたと報告しましたが、今回7月にNFSAを訪れた際にも、大島の追悼上映会が開催されていました。やはり大島渚の影響力はアジアのみならず全世界的な規模であるのだと実感しました。
常設展示室では、オーストラリアにおける映像や音響の歴史を実際に体験できるような工夫がなされています。こちらでは、日本ではあまり知られていないオーストラリアの映画やテレビ番組、ラジオ番組を、実際に視聴することができます。展示室に設置されている映像ブースで映像を見ていると、時間がいくらあっても足りません。
テレビの歴史もかなり詳細にわたって紹介されており、1956年にオーストラリアでテレビ放送が始まってから現在に至るまでの主な番組が保管されており、視聴ブースで見ることができます。ここでは、ドラマやスポーツの試合、ドキュメンタリー番組などが紹介されていました。さらに、近年開設された先住民族のテレビ放送局NITV(National Indigenous Television)についての紹介もありました。
次に、資料室を訪れました。ここでは、映画やテレビ、ラジオ、音響に関連する多様な本や雑誌があり、閲覧利用することができます。
また、研究目的で利用できる視聴ブースもあります。こちらの施設を利用したい場合は、キャンベラ滞在の日数にもよりますが、あらかじめホームページ上で視聴したい作品を選択してリクエストしておいた方がいいでしょう。フィルムの状態で保存されている作品などの場合は、閲覧利用できるように準備するのに時間がかかるので、1週間程前にリクエストを済ませておくことをおすすめします。
今回、数日間に渡りこちらを訪問し、映像資料を閲覧させていただきましたが、スタッフの方々が皆とても親切で、多くの協力を得ることができ助かりました。みなさんも、キャンベラを訪問されることがあれば、是非NFSAに足を運んでみて下さい。オーストラリアの映像と音響の歴史を実際に体験し、とても充実した時間を過ごすことができると思います。