第5回目のフィールドレビュー担当は修士課程2年の萩原めぐみです。もう秋ですね。先日の台風以来、季節が変わったような気がします。今回のフィールドレビューは私の研究対象である戦後の総合雑誌について書きたいと思います。
戦後初の総合雑誌は新生社から1945年10月に創刊された『新生』であると言われています。敗戦から2か月という短期間で発売されました。このたった32ページの雑誌はなんと販売部数が36万部だったそうです。2時間で売り切れたという説もあります。
当時は雑誌や書籍が非常によく売れたようで、岩波書店から出版された『西田幾多郎全集』の第1巻は発売3日前から行列ができていたほどです。誠文堂新光社から9月に出版された『日米会話手帖』は300万部も売れたとか!敗戦後占領軍が来るということでみなさん英会話を勉強しようとしたんですかね。
こんな中でたくさんの総合雑誌が創刊されていきます。46年頃になるとその数は80点以上にのぼります。現在の状況では考えられないですね。戦前からあった『中央公論』や『改造』などの雑誌も復刊します。ただこの時期に発売されていた総合雑誌は『世界』や『中央公論』などの例外を残して現在ではなくなってしまっています。惜しいような気がします。
多くの総合雑誌が創刊され、たくさんの読者を得ていた頃は論壇も白熱していたのでしょう。投書の数も多く、若い大学生の読者もたくさんいたようです。『世界』が総合雑誌のトップを走っていた頃は大学生であれば『世界』を当然ながら読んでいたという話もあります。
総合雑誌を読んでいて、広告を見るのも面白いです。40年代後半は薬や栄養剤の広告が多く、当時の社会状況がうかがわれます。「清潔」「栄養」「健康」という言葉がよく使われています。鉛筆の広告が頻繁に掲載されているところにも時代を感じますね。銀行や定期預金の広告もほとんど毎号に載っています。時代によって広告が変化していくのも興味深いです。
そして個人的に雑誌には挿絵があるところがいいですね。挿絵、最近では少なくなってますね。挿絵の存在感の絶妙なバランスは素晴らしいです。
今回はここで失礼します。次回のフィールドレビューは10月中旬を予定しています。担当は修士課程2年の湯浅さんです。乞うご期待です。