座・高円寺ドキュメンタリーフェス

今回のフィールドレビューは、修士課程1年の森田が担当いたします。私が一観客として楽しみにしているイベント、2月7日〜11日開催の「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」について紹介します。

この映像祭は、東京のポップカルチャーが集まる中央線沿線の街・高円寺で2010年にスタートしました。都内で数少ないドキュメンタリー専門のコンペ部門を持つフェスティバルとして、今年で第7回目を迎えます。「テレビ、映画の枠を越えて、ドキュメンタリーの魅力と可能性を再発見する」と開催目的にあるように、他に比べて新旧のテレビ作品を積極的に取り入れていることが特徴です。

このフェスティバルがテレビ作品を重視している背景には、運営母体の中心がドキュメンタリー・ジャパンという映像制作会社であることが関係しています。現場の制作者たちが自ら企画して継続している映像祭はとても珍しく、日々の制作業務との両立を想像すると、本当に頭が下がります。基本的に制作者の目線でプログラムが組まれているので、良い意味で体系化されていない、実践的なラインアップになっているように感じます。

今年は「出逢い、発見」をテーマにした特集上映と、毎年恒例のゲストセレクション、そしてコンペティション部門の三本柱となっています。特集上映では、ロバート・フラハティ監督の『極北のナヌーク』のような古典から、羽仁進監督の『海は生きている』、佐藤真監督の『SELF AND OTHERS』、テレビシリーズ「すばらしい世界旅行」の傑作と言われる豊臣靖ディレクターの『東ニューギニア縦断記』、さらに森達也監督が公開時のカット部分を再現した『A2 完全版』などが上映されます。

また、ゲストセレクションでは映画監督の是枝裕和さん、諏訪敦彦さん、想田和弘さん、山下敦弘さん、ノンフィクション作家の吉岡忍さん、俳優の井浦新さん、写真家の石川直樹さんがそれぞれの好きな映像作品を上映し、ご本人のトークショーも行われます。個性的なゲストたちの視点を通して、幅広い作品に光をあてるという企画です。

コンペティション部門は現在まだ選考中で、今月末に入賞作品を発表するようです。テレビ、映画、商業制作、自主制作を問わずに募集し、第一線で活躍する審査員の方々が選ぶため、毎年さまざまなタイプの映像作品が集まってきて見応えもあります。今年はどんな作品が上映されるのでしょうか。

私はちょうど大学院も休み期間なので、なるべく多くの回に行きたいと思っています。ドキュメンタリーに興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

★座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル公式サイト http://zkdf.net/#home