YouTubeを活用した記録映像アーカイブ

こんにちは。博士課程の朱です。

今回はYouTubeを活用した記録映像アーカイブについてお話ししたいと思います。

去年の4月から、番組制作会社の日本電波ニュース社(NDN)が公式YouTubeチャンネルで1960年代〜1970年代に北ベトナムで撮影したフィルム映像を公開し始めました。3分ほどの映像が週に一回のペースでアップロードされています。白黒の映像もありますが、1960年代後半以降、カラーフィルムで撮影された映像が徐々に増えました。NDNはテレビニュース通信社としてベトナムを取材したため、これらの映像は当時の報道番組などでも使われていました。

https://www.youtube.com/watch?v=Jbcn2M8Uft4&list=PLnVanPWZZlJKxD3i4Bc6n5P0l8rKqOPb_

アップロードされた映像のほとんどは、ハノイあるいはその近辺で撮影されたものです。疎開された学生、収穫作業をしている農民、ハノイで暮らす市民、訓練をしている民兵など、NDNはさまざまな視点から戦時中の北ベトナムを撮影し、記録しました。ベトナム戦争中に唯一、北ベトナムに入ることができた映像メディアとして、NDNが持つこれらの記録映像は非常に貴重です。

ベトナム戦争報道に関する研究はこれまでにある程度行われてきましたが、新聞などの紙媒体が主な研究対象でした。ベトナム戦争はテレビが報道した初めての戦争であるにもかかわらず、残っているかつ公開されている映像資料は非常に少ないです。そのため、テレビ報道に関してはほとんど研究されていなかったです。

NDNが公開した記録映像に、撮影地や撮影内容についての紹介字幕も付けられていました。今後、テレビによるベトナム戦争報道について検討するときの手がかりになるのではないでしょうか。

テレビの場合、過去の放送番組にアクセスすることはまだハードルが高いです。このようなYouTubeで昔の映像を公開する取り組みは、研究者にとっては非常に意義のあることです。

現在はNHKアーカイブス、放送ライブラリーなどを中心にテレビ番組が保存・公開されていますが、番組制作会社を主体とした番組、映像の保存と公開もそろそろ議論され始めるべきではないでしょうか。