今回のフィールドレビューを担当させていただきます丹羽研M1のリクと申します。今回は、先日訪れた川口市にあるメディアセブンを紹介したいと思います。
丹羽研メンバーとして、川口といいますと、すぐに思い浮かぶのはNHKアーカイブですが(笑)、このメディアセブンを最初に知った切っ掛けは、そこで定期的に開催される「本の上の映画館」という上映イベントです。
学環のコモンズに並んでいるたくさんのチラシの中で、すぐこのシリーズのチラシに目を引かれました。面白そうなタイトル、ちょっとアンティックでシャレた雰囲気が漂うイラスト写真。裏を見ると、上映イベントの詳細が書いてあります。毎月一つのテーマに沿って、スタッフさんが選び出した映画を4回にわけて1本ずつ上映します。
添付のチラシによると、最近のテーマは、それぞれ10月アレッド・アステス、11月女たち・再び、12月ノスタルジアです。どちらかというと、古い映画が多いですが、選別された映画は時代的にも、地域的にも、幅がとても広いです。今回私が参加してきたのは11月10日に行われた、1961年フランス・イタリア製の映画『女は女である』の上映イベントです。
着いたのは上映の15分前ぐらいですが、100人定員の上映室にもう参加者がいっぱい集まっていました。上映開始する頃には、ほぼ満員でした。日曜日といっても、参加者の殆どは年配の方です。一時間半の映画が終わると、「みんテレ」のようなゲストスピーチなども何もなく、皆さんそのまま帰ってしまって、すぐ空室になりました。ようするに、そのような形での、素朴な上映会。確かに「映画館」の感じですね。
後にスタッフさんに伺ったところ、メディアセブンが主催している上映会には、「本の上の映画館」のほか、赤ちゃんを連れて映画を楽しめる「ママシネマ」もあり、「年末特別上映会」などの特集会も企画されているようです。また、上映会で使う映像は、すべて川口市立中央図書館が所属する上映権を持つ映像資料です。
映画を見終わったら、センター自体も見学してきました。メディアセブンは川口駅すぐ隣のキュポ・ラビルの7階にあります。
メディアセブンは、指定管理でNPOの方が運営しています、地域の文化、歴史、産業、芸術などさまざまな分野を探究するメディア情報センターです。
運営の方々がとても精力的で、上映会も含めて、さまざまなワークショップやイベントを企画しています。見学した際には、「サウンド・コミュニティ・プロジェクト」のワークショップが開催されていました。このイベントは、街でいろんな音や声を集め、音声地図を作るという「新しい川口を発見する」活動ですが、小学生くらいの子供たちが楽しんで参加していました。
大型の情報センターとは言えないけれども、施設として、ワークスタジオ、プレゼンテーションホール、録音・編集室、コミュニケーションスタジオ、映像音響機器が全て完備されています。しかも、商業施設と比べてとても安い料金で貸し出されています!
エレベーターから降りて、センターに入ったとたんから、メディアセブンの空間感をすごく強く感じました。なぜかは見学してから分かるようになりました。小さなチラシから、大きな壁や、スタジオの施設まで、デザインがとても統一されています。上の写真に示したように、メディアセブンの壁面には、全部手書フォントで、基本情報以外の内容は、月ごとに消して書き直しています。とても特徴があり、温かい印象を受けます。
そもそも、メディアセブンのHP(http://www.mediaseven.jp/index.html)を引けば、「場」という概念が何度も強調されています。メディアセブンは、市民たちが繋がる「コミュニケーションの場」でもあり、文化や歴史や芸術などを総合的に探究する「学びの場」でもあります。そういう「場」が共有されるからこそ、情報や知識の収集・保管、さらに再提供があり得るとも考えられます。そしてそうした場から、また新しい地域的な文化も創造できるのでしょう。