あるコーヒーCMが起こした騒ぎ

今回のフィールドレビューは修士課程のヴァルッテリ・ヴオリコスキが担当します。私の研究の中心は、メディアの社会的かつ国際的な側面に注目することです。ここでは、最近のあるテレビCMが起こした騒ぎを検討したいと思います。

そのCMの最初の場面は高校の卒業式です。卒業する生徒には鼻輪がつけられています。次のシーンでは、ある女生徒の楽しい学校の思い出が描かれます。そして校長先生が、卒業(牛)証書を配り始めます。そこには、卒業生たちの「進路」が書かれていました。「ナス山田ファーム」「夕陽丘動物園」などが映ります。一人の男の子は「田中ビーフ」に送られてしまいます。男の子が泣いてしまい、他の生徒がショックな表情を浮かべます。

そして、最初に映った女性徒の番になります。彼女は、激しい勉強とトレーニングに努力した3年間を回想します。しかし、そのシーンでは、女性徒の胸を中心とするショットと会話が意外なほど強調されます。彼女の進路はある缶コーヒー会社だと分かると、他の生徒と彼女の両親が盛んに拍手をします。校長が「濃い牛乳を出すんだよ」と彼女を祝います。最後に「〇〇社の特濃牛乳を100%使用した」商品のイメージが出て、CMが終了します

このCMは2015年9月の終わりにFacebookやTwitterで国際的な騒ぎを起こしました。私は初めてそれを日本と何の関係もないフィンランド人の知り合いの「また日本から変なやつが出た」という書き込みで知りました。主役の女の子がどれほど努力をしても、大事なのは彼女の胸でしかなかったということで、C Mはそれを随分と露骨に言います。多くの視聴者が問題を指摘しました。

このCMの公開は2014年ですが、当初、日本ではこのCMに気づいた人が少なかったそうです。海外のSNSユーザーがシェアし始めた時に日本のユーザーもそれに大きく注目しました。そのあと、TwitterやブログでCMの問題点が日本人によっても論じられ、大きく批判されました。おそらくその結果、CMは削除されました(現在、YouTubeではこの動画は削除されています)。

このCMは2015年9月の終わりにFacebookやTwitterで国際的な騒ぎを起こしました。私は初めてそれを日本と何の関係もないフィンランド人の知り合いの「また日本から変なやつが出た」という書き込みで知りました。主役の女の子がどれほど努力をしても、大事なのは彼女の胸でしかなかったということで、C Mはそれを随分と露骨に言います。多くの視聴者が問題を指摘しました。

このCMの公開は2014年ですが、当初、日本ではこのCMに気づいた人が少なかったそうです。海外のSNSユーザーがシェアし始めた時に日本のユーザーもそれに大きく注目しました。そのあと、TwitterやブログでCMの問題点が日本人によっても論じられ、大きく批判されました。おそらくその結果、CMは削除されました(現在、YouTubeではこの動画は削除されています)。

「外圧」という言葉が、日本の政治と繋がって昔から使われています。海外の新聞や政府が、日本の政府や会社などを批判し、日本国内で「普通のやり方」では起こせない変化を起こすことです。伝統的に、外圧は意図的なものです。

今回のCMの場合、「外圧」の対象となったのはセクシズムと言えるでしょう。しかしこのCMをシェアしたほとんどのユーザーは多分それをあまり考えず、ただ面白いビデオをシェアしたのではないかと考えられます。それにもかかわらず、CMのセクシズムは大きく注目され、コーヒー会社がそれを反省したようです。

メディア論の観点から見ると、ここに二つの非常に面白い点があると思います。その1つ目は、「国際的なメディアの循環」です。ある作品が、ターゲットマーケットの外に広がり、そこで制作者の意図しなかったように解釈され、ターゲットマーケット内の視聴者が「あ、本当だ」と反応します。こういう循環は、SNSと動画サイト以前の時代にはほぼありえなかったと思います。

2つ目は、「社会的な圧力の無意識化」です。確かに「こんなことをやめたほうがいい」と思ってシェアしたユーザーも多いでしょう。しかし、このCMの問題点を知らせたのは、皮肉なことに「面白かった」と思ってシェアしたユーザーと想定できると思います。

ネットとSNSがユビキタスになりつつある社会で、このようなメディアと社会のインタラクションを研究する機会は、これからますます増えていくと思います。