「アメリカ横断ウルトラクイズ」視聴レポ

2013年7月12日、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビアーカイブ・プロジェクト第15回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。

今回は、「海外に飛び出せーアメリカ横断ウルトラクイズ」をテーマに、1977年から98年まで日本テレビで放送された視聴者参加型クイズ番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』を取り上げました。ゲストには、この番組のプロデューサー(審査委員長)であり、『ピラミッド再現計画』や『はじめてのおつかい』など、娯楽ドキュメンタリーの分野で数々のヒット番組を手がけてきた元日本テレビの佐藤孝吉さんをお招きしました。

『アメリカ横断ウルトラクイズ』は、それまで常識であったスタジオを飛び出し、クイズ番組の形を一変させた史上最大の視聴者参加型のクイズ番組です。1977年から1992年までの16年間65回の全平均視聴率は24.4%、最高視聴率は34.5%でした。

今回の特別企画として、作品を上映する前に佐藤さんの司会でクイズタイムを10問程度設けました。「クエスチョン!」と○×クイズを連発した5分の間に、会場のテンションは一気に盛り上がりました。

その後、番組の上映に入りました。東京ドームから、空港、グアム島…クイズを解きながら世界各地のチェックポイントを回り、最後のゴールはニューヨーク!ジャンケン勝負、罰ゲーム、強制送還など、勝者だけではなく、敗れ去った人々の「ドラマ」にも注目しながら、まさに涙と笑顔が溢れだす一本の人間ドキュメンタリーとなっていました。

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人の喜怒哀楽を撮ることを自らの仕事とした佐藤さんは、心の中を人前に表すことを「恥」とした日本人がウルトラクイズの舞台では見せる喜びや落胆の表情を、ひたすら撮り続けました。「日本人が弾けた!」と佐藤さんは語りました。

また、「ジャンケンと言えば、『ウルトラクイズ』」であると、ジャンケン勝負の裏話をたくさんお話しして下さいました。ジャンケン勝負は日本人の笑いの感覚を変え、頭の良さや偉さではなく、運任せという本当の平等の下に皆が自由に夢を見られる機会を与えたのでした。

この番組が人々に提供したドラマは、決して放送時間内に流されたシーンだけではありません。舞台裏においては挑戦者が自分を問い詰める旅でもあり、さらにスタッフと挑戦者との闘いの場でもあったのでした。

テレビ関係者の方々からの質問だけでなく、『アメリカ横断ウルトラクイズ』の大ファンの方からの感想なども多く寄せられ、会場と佐藤さんとのやり取りは非常に活発なものとなりました。最後に会場でジャンケン勝負を行い、その優勝者には佐藤さんのご著書『僕がテレビ屋サトーです 名物ディレクター奮闘記』(2004、文藝春秋)がサイン入りで贈られました。