2012年2月24日、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビアーカイブ・プロジェクト第2回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。
第2回はRKB毎日放送のディレクターであった木村栄文さん(1935-2011)を取り上げました。木村栄文さんは、福岡の地方テレビ局にいながらも全国に名の知られた名物ディレクターで、数多くの素晴らしいテレビドキュメンタリーを手がけました。今回は、そんな彼自身に迫ろうとしたETV特集『もういちどつくりたい~テレビドキュメンタリスト木村栄文の世界』(2006年)を上映しました。このドキュメンタリーは、パーキンソン病に侵され、手足や言葉が不自由になりながらも、もう一度番組制作に取り組もうとする栄文さんの思いが描かれています。
上映後には、この番組を制作した渡辺考さん(NHK)が、当時の制作秘話を語ってくれました。「久しぶりに栄文さんを見て涙が出そうになった」と感想を述べた渡辺さんは、栄文さんとの出会い、番組制作のきっかけ、制作現場でのやりとりなどをしみじみと回想してくれました。中でも印象に残ったのは、栄文さんからシーンについての細かい注文が書かれたFAXが寄せられた、というエピソードです。ドキュメンタリストについてのドキュメンタリーを制作することの難しさや面白さ、そして栄文さんのお人柄を、渡辺さんのお話から窺い知ることが出来ました。
当日は50名近い参加者が集まり、ディスカッションも大いに盛り上がりました。さらに、その後の懇親会でも、番組についての感想や栄文さんの思い出話は尽きることがありませんでした。ご来場下さった皆様、ありがとうございました。
第3回「みんなでテレビを見る会」もどうぞご期待ください。