2011年6月19日(日)、情報学環福武ホールで、記録映画アーカイブ・プロジェクトの第6回ワークショップ「長編記録映画『夢と憂鬱ー吉野馨治と岩波映画』完成披露上映会」(主催:東京大学大学院情報学環)を開催しました。
記録映画アーカイブ・プロジェクトでは、岩波映画製作所(1998年に倒産した世界最大規模の短編映画会社)が作った約4000本におよぶフィルム原版の寄贈を受けたのをきっかけに、記録映画の上映と討論をセットにした連続ワークショップを企画してきました。今回、その活動から派生するかたちで、アーカイブ映像を利用した映画製作に挑戦しました。
「夢と憂鬱」は、岩波映画製作所の創設者の一人である吉野馨治の人生を通して、岩波映画と戦後日本の歩みを描いた映画です。吉野が科学にかけた夢と苦悩、彼が多くの若い映画作家を生み出していった背景、岩波映画の栄光と挫折が、関係者の貴重な証言や記録映画の名場面の数々とともに明らかにされます。
上映会には、映画に出演された岩波映画のOBの方々をはじめ、200人以上の参加者があり、会場は立ち見がでるほどの大盛況でした。参加者からは「記録映画をこれだけまとめて見たことがなかったので貴重な経験となった」「今ここでこういう映画をまとめておくことは意義がある」「自分の生きてきた時代と重ねながら見た。今年、震災や原発事故がある中、大変重いテーマを投げかけられた」といった声が寄せられました。
今後この映画は、大分県で開催されるゆふいん文化・記録映画祭をはじめ、各地の映画祭や映画館で順次公開していく予定です。この映画の完成・上映を機に、記録映画の保存・活用運動をさらに広げていきたいと思います。自主上映や試写をご希望される方は、記録映画保存センターまでご連絡ください。
企画・製作:記録映画「夢と憂鬱—吉野馨治と岩波映画」製作委員会
(記録映画アーカイブ・プロジェクト/記録映画保存センター)
製作:村山英世
監督・脚本:桂俊太郎
演出:桂俊太郎、すずき靖、井手洋子
撮影:尾崎邦夫、沢田康武
音楽:藤江隆男
解説:徳弘夏生
C・G:植田秀蔵
リサーチ:矢澤拓男
録音:高木創
監修:吉見俊哉、丹羽美之、中村秀之、筒井武文、鳥羽耕史、とちぎあきら
上映時間:122分