丹羽研究室は「東日本大震災とメディア」研究会を立ち上げ、2011年3月11日におきた未曾有の震災を、メディアがどのように伝えたのか検証してきました。これまでの経過として、9月に実施した宮城県での聞き取り調査については、既に記事にてご紹介させて頂きました。今回は、研究会でのその他の取り組みについて、ご報告したいと思います。
2011年11月21日(月)の研究会では、小林直毅先生(法政大学)と林香里先生(東京大学)が、それぞれの研究の進捗状況について報告して下さいました。
小林先生は、福島第一原子力発電所事故の初期テレビ報道に関しての記号論的な分析がテーマで、現在はニュース項目の洗い出しを行っているということでした。また、林先生は、日本・中国・韓国・ドイツ・米国のTVニュースを比較し、東日本大震災原発事故報道の情報源について実証的に分析するため、学生たちとともにコーディング作業を進めているというお話でした。
お二人の研究は、本研究会の中では、よりマクロな視点をもって調査・分析を試みるものであり、どちらのご報告からも、東日本大震災が与えた影響の大きさを再確認させられました。また、マスメディアが非常事態に際して何をどう伝えたのか、その方法は本当に適切だったのであろうかと考えることは、平常時におけるマスメディアのあり方をも再考することに直結するのだと思いました。
他にも、研究会メンバーである市村元先生(関西大学)は臨時災害FMに関する聞き取り調査の分析を、藤田真文先生(法政大学)と丹羽美之先生(東京大学)は宮城、岩手、福島のローカル局の震災時の初動に関する聞き取り調査をさらに進めています。本研究会は、今後も東日本大震災におけるメディアの初動に特化しながら、震災とメディアを、多面的に分析していきます。