日本外国特派員協会に行ってきました!

こんにちは。今回のフィールドレビューは博士課程の金恵柱が担当します。近年、個人の小さな声がインターネットを通じて社会に大きい反響を呼ぶ事例が多く見られます。私はこのような一般市民の新たなジャーナリズム的影響力と、それが生み出す様々な変化や問題、新たな可能性に興味があります。今日はこのような私の関心事と関連する最近の経験を、フィールドレビューとして皆様とシェアしたいと思います。

数日前、私は東京都丸の内にある「日本外国特派員協会(The Foreign Correspondents’ Club of Japan、略称FCCJ)」に行ってきました。FCCJは、外国の報道機関から日本に派遣された特派員のための記者クラブです。ここで私は記者会見を見学し、報道企画委員会の共同委員長である神保哲生さんとお話をすることができました。

お昼頃、二重橋駅に着きました。駅前の高層ビルにあるFCCJの内部に入ると、受付が見えました。受付付近には世界各国・地域の特派員の写真が壁一面に貼られていて、世界のニュース放送を見せてくれるテレビも数台ありました。内部には会議室、会員のための図書館とワークルーム、記者会見室などがありました。英語と日本語が公用語として使われていました。

しばらく受付付近にある展示とFCCJの月間会報誌を見ていると、記者会見の時間になりました。その日には、児玉龍彦東京大学教授による日本の新型コロナ対策に関するメディアブリーフィングが予定されていました。運よく、会見の後ろの方で見学するチャンスをいただきました。会見前、スタッフのみなさんは忙しく機材のチェックやカメラの設定を行っていました。ドイツやアメリカなど様々なメディアから派遣された特派員も会見の開始を待っていました。今回の会見では新型コロナウイルスの影響で、 質疑応答はすべてテレビ会議上で行われることになっていました。

1時間半程度、児玉教授の会見と記者らの質疑応答が行われました。記者らの鋭い質問と、専門的な情報を理解しやすいものにして読者に伝えようとする情熱、ファクトチェックのための分析的な視線、そして児玉教授の専門的な回答がとても印象的でした。こうして、記者によって収集・再構成された情報がニュースになって、日本から世界に発信されるのでしょうね。ジャーナリストに必要な鋭さ、情報を社会が必要とするニュースとして加工していく能力と責任というものが、実際にどのように実践されているかを少しだけ垣間見ることができたと思います。

また、記者会見はFCCJのVimeoチャンネルで生中継され、映像は数時間後にYoutubeにもフルバージョンでアップロードされる仕組みになっていました。専門記者じゃなくても誰でもEメールを使ってリアルタイムに質問を送ることができるということも素晴らしいと思いました。報道機関に所属していない1人ジャーナリストや、会見内容に興味がある一般市民も簡単に記者会見をリアルタイムで視聴し、質問をして、それを取材にも活用できるということがとても印象深かったです。

会見後、神保さんに普段の研究的関心事について色々な質問をする機会がありました。記者会見とニュースコンテンツのクオリティーを高めるための課題、報道機関の独立性とプレスの自由を確保するための努力などについて色々な話を聞くことができました。

序頭ともつながりますが、もはや誰もがメディアを組織して世の中の人々に直接メッセージを発信し、 社会に大きい影響を及ぼすことのできる時代です。ニュースの概念は多様化し、’記者って何?’という質問には一言で簡単に答えられなくなりました。プレスにとって、情報を取捨選択し、議題を設定し、市民社会の討論を主導するというゲートキーパーの役割は、今もプレスとしての使命であり、本質だと言えますが、メディア環境の変化とともにこの伝統的な意味の役割も確かに問われています。

これからニュースはどのように変わっていくでしょうか。私達はどのようなニュースを作っていくべきでしょうか。私達はどのようにニュース読んで、見るべきでしょうか。また、私達はどの情報を信頼して、どのニュースを選択するべきでしょうか。ジャーナリズムの定義そのものも変化していくのでしょうか。今回の経験は、この問題について色々な話を聞いて、私なりに色々考察することができたいい機会でした。これからもこのような問題について研究していきたいと思います。