「さよならテレビ」上映会

2019年1月26日、ワークショップ「テレビの内部をさらけ出す〜東海テレビ『さよならテレビ』〜」を、丹羽美之研究室(テレビアーカイブ・プロジェクト)と日本マス・コミュニケーション学会(若手ワーキンググループ)で共催しました。

テレビアーカイブ・プロジェクトではこれまでも、テレビ番組を上映し、参加者全員で語り合う連続ワークショップ「みんなでテレビを見る会」を開催してきました。今回は日本マス・コミュニケーション学会との合同企画として、2018年9月に東海地区で放送されて反響を呼んだ『さよならテレビ』を上映しました。

『さよならテレビ』は、多くの優れたドキュメンタリー番組を制作し、劇場公開してきた東海テレビが、テレビ局そのものにカメラを向けた問題作です。「働き方改革」で揺れる報道部を舞台に、人手不足解消のためにやってきた若い派遣社員、権力監視の衰退を嘆く記者歴25年の外部スタッフ、番組降板を告げられるアナウンサーなど、テレビ局の内部事情を生々しく描いています。

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上映後は片野利彦さん(日本民間放送連盟)の司会進行により、ディレクターの圡方宏史さんと松山秀明さん(関西大学、学府OB)のトーク、さらには会場の参加者による活発な質疑応答や議論が行われました。

会場から「テレビ局の内部を暴くといいながら、都合の悪い部分はカットしたのではないか?」と聞かれると、圡方さんは「もともとは、権力監視といったマスコミの正義より視聴率獲得を優先する、『マスゴミ』としてのテレビを撮りたかった。しかし、思った以上に職員が真面目でその狙いは果たせず、一番『マスゴミ』的だったのは撮っている自分たちだったと気づいた」と語っていました。

会場は立ち見が出るほどの盛況で、熱気に包まれました。研究者、学生、制作者、一般市民など、さまざまな参加者が集まり、現在のテレビに対する考えや思い、テレビ再生に向けた期待を語り合う貴重な機会となりました。