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氷点下30度ハルビンの古本屋めぐり

作者: Wang Le | 2018年2月23日Posted in: フィールドレビュー

今回のフィールドレビューは博士課程の王楽が担当いたします。クリスマス時期の東京から脱出して、氷点下30度のハルビンへ資料調査を行ってきました。

中国黒竜江省ハルビン市で何軒かの古本屋を訪ねてきました。現在電子商取引が盛んに発展している中国では、全国各地の古本屋がほとんどオンラインショップで取引しています。店ごとに自力で独自のデジタルカテゴリーを構築して、本の写真と紹介を含め、インターネットで公開しています。今回私は北京大学側の同僚とともにオンラインで挨拶したハルビンの古本屋さん達を現実で訪ねて、所蔵品を拝見してきました。

中国と日本にとって、中国の東北地方が昔からずっとデリケートな地域と言っても過言ではありません。現在のハルビンでも同じく建国前の日本関連の資料がほぼタブー視されてきました。しかし、こんな環境に身を置きながら、古本屋さん達は堂々と旧満州国関連の資料を売っています。資料の定価は大学などの研究機関の公費でしか支払えない高額なので、私費で入手できる人が殆どいませんが、公的機関における1945年以前の資料の閲覧制限が厳しくなっている現在、このような古本屋による一次資料の市場化も変わらずに維持されています。これは主要な得意先、上記の公的機関のおかげです。

このような古本屋のオーナーさんは一体どんな人なのか、なぜ貴重な資料を入手できたのでしょうか。私が彼等と雑談することで、ほぼ警察や大学の元職員や出版社の編集者などといった公的機関に勤めている方だとわかりました。彼等現地エリートは自らの人脈を利用することで、ハルビン市の隅々に分散した資料の存在を確認できる一方、高学歴で出身家庭や仕事を通して豊富な関連知識教養も身をつけています。専門研究者ではありませんが、専門研究者に負けない収集力と洞察力を持っていると思います。安定な生活を送っている彼等は、最初副業収入を増やす手段として自分の興味に関係する古本屋を起業しましたが、投資金が膨大になってから次第に不安あふれる生活を送るようになってきました。とりわけ近年地方大学の資料購買が北京などの大都市に目を向けるようになっている傾向で、古本屋の営利状況が次第に厳しくなってきました。

「いつもおやじに怒られていますよ。この古本屋のため、貯金をだいぶ使い切れて、ゴミのような、わけわからない紙と本ばかり買ってくるなんてばかばかしいじゃないかとよく言われています。現在の中国で、不動産投資が一番お得でしょう。今まで使ったお金でずいぶんもっと裕福な生活を送れるはずなのに、なんでこの古本屋を諦めないだろうか。自分もわかりません。でも、バカバカしく一種の使命感を感じています。」

人間の心はゴロゴロと変わるものはずなのです。不安やストレスを感じるとすぐに距離を置くことで逃避してしまうはずなのです。しかし、人生のあらゆる面に必ず逃げない、諦めないことが存在するに違いません。このようなことを頑張って継続させることですら自分の自信、生き甲斐ひいては使命感を感じられるようになります。私は古本屋さんのお話に共鳴できたのは、幸いに自分なりの生き方をすでに見つけたからではないだろうかと思います。

ハルビン聖ソフィア大聖堂とハルビン中央通り

普通にどこでも食べられるロシアチョウザメ