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「明治ポンチ本」とはなにか

作者: Suzuki Maki | 2016年7月04日Posted in: フィールドレビュー

こんにちは。今回のフィールドレビューは博士課程の鈴木が担当します。今回は先日、マンガ学会のラウンドテーブルで発表したことについて、書いていきたいと思います。

 6月に東京工芸大学中野キャンパスで行われたマンガ学会にて、私は「明治ポンチ本」なるものに関する発表を行いました。

それでは、この「明治ポンチ本」とはいかなるものでしょうか。湯本豪一は、「明治三十年代、題名に『ポンチ』という言葉を入れた袖珍本が集中的に発行された」(湯本 1993: 11)と指摘しています。そのサイズはタテ11.5cm×ヨコ16.5cmのものが主流であり、このように小型の本で、題名に「ポンチ」という言葉が含まれているなどの特徴(湯本はこの特徴を10点に分けて指摘しています)を有するものを、ここではひとまず「明治ポンチ本」として位置づけたいと思います。

この「明治ポンチ本」を、わたしが興味深いと思う点は、①明治30年代に集中的に発行されているという点、②その発行地が東京の、日本橋区・浅草区・神田区・下谷区に集中しているという点の2点です。学会では2番目の点に特に注目して、明治期の出版空間のなかに、明治ポンチ本の版元の所在地はどのように位置づけられるのかについて発表しました。

明治初期、新聞業および出版業の中心地は日本橋区、京橋区周辺にあったということが当時の出版統計や先行研究からわかります。一方で「明治ポンチ本」の版元の所在地とはそこからはすこし離れた場所に集中していました。今回の発表ではこうした位置関係については、明らかにすることができたと思っています。

一方で、こうした出版空間全体のなかの位置づけが、「明治ポンチ本」そのものにどのようにかえっていくのかという点に関する考察については課題が残るものだったと感じています。また、今回は「出版」に関しては調べることができたと思いますが、「流通」の問題についてはまだわかっていないことの方が多い状況です。

「明治ポンチ本」は、漫画が「近代化」していく過渡期の貴重な資料群です。今回の発表を通じて明らかになった課題に、今後も向きあっていきたいと思います。