2016年3月10日(木)、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビアーカイブ・プロジェクト第18回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。今回は、シリーズ「NNNドキュメントとの対話」の第1回として、2015年に広島テレビ放送で放送された「NNNドキュメント15『平和宣言 ヒロシマは語る』」を取り上げました。
毎年8月6日の原爆の日に、広島から世界に発信される平和宣言。この番組は「平和宣言」を、私たちは本当に知っているのだろうかを問うています。メディアに映し出される「原爆の日」の風景のひとつに溶けてしまっていた平和宣言に改めて焦点をあて、起草の過程を丹念に追うことで、広島の、そして戦後日本社会の70年を描き出す番組となっています。
上映後は、この番組のプロデューサーを務めた広島テレビ放送の佐藤宏さんに、番組制作のきっかけや、戦後70年の広島テレビ放送の取り組みについてお話を伺いました。また、被爆70年を迎え、戦争体験者が減少し、「語り継ぐ原爆」から「歴史としての原爆」へと転換していること、そのなかで被爆県局としての今後の役割についてもお話を伺いました。
また今回は「NNNドキュメントとの対話」ということで、研究者の立場からの問題提起の試みも行いました。NNNドキュメントでは開始当初から原爆関連ドキュメンタリーが毎年継続して放送されてきています。そのなかで様々なテーマ・問題が取り上げられましたが、2000年代以降の特徴として「記憶」の問題の前景化が挙げられます。この点について、制作者である佐藤さんのお話を伺うことができたのはとても刺激的でした(「対話」という点での課題はまだまだ多かったのですが)。
会場には、40名ほどの参加者が集まり、戦後70年を迎えたいま、「記憶」をいかに継承していくかということが改めて重要となっているのだということを伺わせました。
「みんなでテレビを見る会」では、今後も、「NNNドキュメントとの対話」シリーズを継続して開催し、NNNドキュメントの名作や話題作を紹介すると同時に、制作者と研究者が語り合う機会を積極的に設けていきます。次回は7月の開催を予定しています。今後のみんテレにも是非、御期待ください。