博士課程の萩原です。私は現在、情報学環教育部向けのドキュメンタリー制作授業でRAとして授業のお手伝いをしています。普段は撮影機器・編集機器の管理や、講習会を行って撮影・編集の方法を教えています。
ドキュメンタリー制作の授業では、まず受講生がグループを組み、各々の問題関心に基づいて撮影したいテーマを決めます。テーマが決定すると、グループで一つの企画書を作成します。企画書は「番組タイトル」「企画意図」「内容・あらすじ」等をA4程度にまとめます。この企画書を作る過程ですでに取材対象と連絡をとり、取材可能性があるのかどうかも見極めていきます。
学生たちはこの企画書が通ると、早速カメラを持ち取材や撮影に出かけていきます。授業外で多くの打ち合わせや撮影を繰り返し、実際に映像を撮っていきます。これと同時並行的に自分たちの作品をどのように作っていくか、構成を練ります。構成表は実際の映像のシーンと、そのシーンに込める概要や意味をしっかり言葉でまとめるものです。それをすることによって学生たちは漠然と映像を撮ることから、どのようなシーンでどのようなカットが必要なのかを整理することができ、よりスムーズに撮影を進めることが出来ると言えます。そして構成を定めていくことで、自分たちの問題意識は何か、作品で伝えたいことは何かが徐々に浮かび上がってきます。
撮影し、構成を練り、編集し、授業で先生や他の学生たちからコメントをもらい、そしてまた撮影…と、繰り返しながらよりよい作品を作っていきます。この授業では授業外の作業である、取材・撮影・編集・打合せ等の作業が極めて多く、とてもハードな授業です。ハードであるがゆえに一つの作品を作りあげたという充実感や達成感が大きいように思います。
以上のように作品を作っていく過程を授業に参加しながら見ているのですが、丹羽先生もよくおっしゃっている通り、映像制作は論文を書く事にとても似ています。論文もまた自分の問題意識からテーマを決め、資料を調べていき、そこから論文の問いは何か、論文で伝えたいことは何かといったことを書いていきます。資料を調べながら論文の章構成を決め、よりよい論文を完成させるためにその作業を繰り返します。このことを考えると、映像制作もまた論文と同じくとても創造的で知的な作業だと思います。
7月中旬のコンクールへ応募することを目指して、学生たちは日々撮影や編集に追われています。7月に完成作品を見ることを私も楽しみにしています。