山形映画祭2025 子連れ体験記

こんにちは、大学院研究生の森田です。去る10月11〜13日の連休、6年ぶりに山形国際ドキュメンタリー映画祭へ参加してきました! 2年前の前回は0歳だった子どもの体調不良で諦め、4年前はコロナ禍でオンライン開催……ということで、現地参加は自ら特集上映を企画した2019年以来でした。

今回は満を持して(?)、2歳半になった子どもと夫との家族3人で参加しました。夫&子には霞城公園あたりで大いに遊んでもらい、その間に作品鑑賞を……という作戦を練っていましたが、子連れ旅はまったく一筋縄ではいきませんでした。その紆余曲折のごく一端を、以下に綴ってみたいと思います。

1日目:午後に新幹線で山形着、あいにくの雨模様。子どもが過ごせる場所を探しているうちに夕方になり、やっと図書館にたどり着く。私はなんとか盛況の「ダイレクト・シネマ特集」へ向かい、『いのちのいえ』鑑賞。途中で夫&子がやって来たので中抜けして、企画者のマーク・ノーネス先生やスタッフの友人に家族を紹介する。ホテル近くの焼肉屋さんで夕食(とても親切で美味しかったです)。子どもを寝かしつけた後、一人で香味庵(映画祭公式の交流酒場)へ行って知人たちと再会。

2日目:子どもがいつも通り7時前に起きるため、寝不足気味。不運なことに連日の雨で、またもや子どもの行き先に困ったものの、駅前に山形県産業科学館なるものを発見して夫&子が無事出発。私は遅刻で「ダイレクト・シネマ特集」へ行き、モスバーバーガーの昼食で合流。午後からはコンペ作品に……と目論むも、夫から「どうしてもお昼寝しない」のSOSでホテルに戻る。そして不覚にも一緒に寝てしまい、楽しみにしていた『ガザにてハサンと』を見逃す。かろうじて『A Window of Memories』を鑑賞した後、家族3人で旧吉池医院というサブ会場のイベントに行ってみたものの、思った以上に真面目なムードで子どもが耐えられず、5分で退散。行くあてもなくなり、100均でおもちゃと画用紙を買って場をしのぎ、私だけ途中から「ダイレクト・シネマ特集」で『アメリカ合衆国ハーラン郡』。夫&子がたどり着いた小料理屋さんに合流して夕食(とても優しくて美味しかったです)。この日も子どもを寝かせた後に、なんとか香味庵へ。

3日目:気がつけば帰京の日。せっかくなら子どもにも「映画鑑賞」を体験してほしいと思い、ダメ元でメイン会場のコンペ作品『日泰食堂』へ3人で向かう。後方の端っこの席についてみると、偶然にも前後がお知り合いの先生方で、少しホッとする。子どもは上映前の監督挨拶でしっかり拍手、先付け映像が流れた時に「はじまったね!!」と大きな声を発したものの、意外にも本編は10分くらい集中して見ることができた。さすがに退屈し始めたので私&子で会場を出て、夫にとっては唯一の作品鑑賞が叶う。ここに来てやっと太陽が出て、山形美術館前の広場を散歩(2019年の特集上映会場だったので、子どもと一緒にいると不思議な気分に)。夕方には帰宅できるよう、午後イチの新幹線で山形を後にした。

いろいろと思い出して長々と書いてしまいましたが、要するに、子連れで参加した結果、夫が最大限に協力してくれても、作品鑑賞は2泊3日で3.5本程度(丸々通しで見られたのは中編2本のみ)が限界でした。山形映画祭といえば食事もそこそこに1日5本くらいハシゴするのが醍醐味だと思ってきましたが、少しでも家族で過ごそうとすればそんなことは不可能です。しかも「見ること」だけで目的達成となってしまい、特集や作品の中身をじっくり考察する余裕はありませんでした。

そして、やっぱり子どもと来ている場合、家族で一緒に楽しめるようなイベントがあれば嬉しい……!と感じる面もありました。後から振り返れば、出入り自由の写真展やワークショップなども開催されていたのですが、そうした情報にまで目がいかなかったことは反省点です。映画祭としては貴重な託児スペースの紹介もあるものの、まだ小さい子どもの場合、見知らぬ土地で家族と別れて過ごすというのはハードルが高いとも感じました。

一方で新たな発見だったのは、子どもが思ったよりも「映画鑑賞」できる、ということでした。最終日になってチャレンジしてみて、もっと積極的に子どもと一緒に会場へ通ってみても良かったのではないか、と気づいたことも事実です。大人の私たちが勝手に「子ども向けじゃない」と思い込んでいるだけで、面白いドキュメンタリー映画は年齢を問わないのかもしれません。

そんなこんなで、右往左往するうちに終わってしまった今回の山形映画祭ですが、これまでとはまったく違った視点から参加する機会にもなりました。ヤマガタはさまざまな人を受け入れてくれる懐広い場であると信じて、次回以降も懲りずに子連れでの楽しみ方をアップデートしていきたいと思います。