こんにちは。修士課程2年の尚です。無事に修士論文の提出と口述審査を終え、今回のフィールドレビューは少し肩の力を抜いて、ゆるめの内容でお届けしたいと思います。テーマは、修論執筆の合間にハマった中国のバラエティ番組。研究内容に直接役立ったわけではありませんが、息抜きとして大いに支えられ、何より内容自体がとても興味深かったので、ぜひ紹介させてください。
今回紹介したいのは中国湖南広播電視台傘下のVODプラットフォーム Mango TV が制作したリアリティショー『再見愛人Ⅳ』です。中国語のタイトルには「愛する人と別れる」と「再び会う」という二重の意味が込められています。番組の内容は、離婚危機にある芸能人夫婦(インフルエンサーや一般の方も含まれますが)3組が18日間のキャンピングカーの旅をともにするというリアリティショーです。さらに、専門家やタレントが集まるスタジオで、VTRを見ながら多角的に意見を交わすという構成になっています。旅の終わりには、それぞれの夫婦が「別れるか」「やり直すか」の決断を下すことになります。

近年、恋愛リアリティショーはさまざまな形で進化を遂げてきましたが、離婚危機にある夫婦にスポットを当てたリアリティ番組はまだ多くありません。この番組の面白さは、「旅」という日常のしがらみから解放された環境の中で、当事者たちが長年抑え込んできた結婚生活のひび割れに真正面から向き合う瞬間がカメラに収められている点にあります。さらに、スタジオでの分析を通じて、すでに表面化している問題だけでなく、当事者自身も気づいていない潜在的な課題までも浮き彫りになっていきます。
もちろん、この番組にも他のリアリティショーと同様に、カメラの介在や編集によって「リアリティ」がどこまで保たれているのかという疑問や、SNS上での出演者へのバッシングといった問題がつきまとい、番組に対する批判の声も少なくありません。しかし、このようなリアリティショーの価値は、他人のプライベートを覗き見ることや、傍観者として出演者の言動を道徳的に裁くことではなく、むしろ他者という鏡を通じて自分自身の問題を映し出し、深く考えるきっかけを提供することにあると私は考えます。夫婦関係の問題を深く掘り下げていくと、恋人や親との関わり方など、人と人との関わり方全般に共通する側面を持っています。そして、私たちの日常生活にはリアリティーショーのカメラは存在せず、自分の言動や、それが相手に与える影響を第三者視点で振り返る機会が限られています。この番組はまさにこのような視点を提供し、まるで鏡のように自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれている作品だと感じました。
番組はMango TVのYouTube公式チャンネルで全話視聴可能です(日本語字幕はCC字幕のみですが)。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!