修士1年の武田尚子です。今回のフィールドレビューは昨年9月にオープンした新宿区立漱石山房記念館についてお送りしたいと思います。
日本を代表する文豪・夏目漱石。
漱石は慶応3(1867)年、牛込馬場下横町(現・新宿区喜久井町)に生まれました。そして、晩年の9年間を過ごし、数々の名作を世に送り出した「漱石山房」があった新宿区早稲田南町に、このたび初の記念施設として設立されたのが「漱石山房記念館」です。新宿区は漱石とゆかりが深いことから、これまでも顕彰事業に力を入れてきました。
じつは私は、漱石文学を大変愛好していて、2005年に新宿区が区立漱石公園をリニューアルする際に、公募した「区民プランナー」に手を挙げ、市民参加の計画会議に出席したことがあるほどです。そのためこの記念館のオープンを心待ちにしていたのでした。
駅からの道すがら、歩道のブロックには「ねこ」のデザインが現れて道順を示し、期待が高まります。
「漱石山房通り」の坂を上ると見えてくるのはガラス張りのモダンな建物と、傍らには漱石の胸像。
エントランスを入ると、日当たりのよいカフェがあり、奥に展示スペースが広がっています。1階には多くの名作が生み出された漱石山房が復元されており、2階では漱石作品の初版本や掲載紙、草稿、書簡等の資料を観ることができます。
漱石は『吾輩は猫である』で作家デビューを果たしましたが、その後朝日新聞に専属作家として入社しています。『三四郎』『それから』『門』等の有名な作品はすべて朝日新聞の連載として発表されており、誰もが知る人気作家となったのは新聞というメディアによるところも大きかったのかもしれません。
これから、多くの興味深い企画展や文学講座等のイベントが予定されています。関心のあるかたはぜひ訪れてみてください。
○新宿区立 漱石山房記念館
http://soseki-museum.jp/