全録レコーダ「SPIDER」とテレビ研究

今回のフィールドレビューは、修士課程の長谷川が担当いたします。本日はメディア編集室にあるSPIDERについて書こうと思います。

私は普段主に学内では
・福武ホール(主に授業、またはコモンズで自習)
・情報学環本館7階(主にゼミ)
に居ることが多いです。今回はゼミでよく使用する情報学環本館7階演習室の隣にある「メディア編集室」についてご紹介いたします。

メディア編集室には、メディア制作のための機材および、SPIDERと呼ばれるレコーダーが設置されております。メディア制作のための機材には、SONYの業務用カメラ XDCAM PMW-100から映像編集のための最新のMacbookProまで充実した機器が揃っています。こちらについてもご紹介したところですが、今回焦点を当てるのは、部屋の隅にひっそりと置いてある全録レコーダー「SPIDER」です。

SPIDERは、テレビに接続して最大2週間・8chまでの地デジ放送を録画する端末です。昨今、東芝やパナソニック等メーカー各社は競って全録レコーダを発売しており、テレビ番組を全番組録画(=全録)する機械は珍しくはありません。

しかし、他社の全録レコーダと異なるSPIDERの大きな特徴は、全録されたコンテンツに対して独自に高精度なメタデータを付与することで、非常に細やかな番組検索を行えることです。特に全ての番組内のコーナーとCMにメタデータを付けて判別しているため、番組名や商品名、特定のキーワードなどで検索すれば、録画された全ての放送からCMや番組の該当するシーンまで一覧できます。これがテレビ研究を行う際にも大きな役割を果たします。

例えば「防衛装備移転三原則」に関するテレビ各局の報道の姿勢の違いを考察したければ、キーワード検索で「防衛装備移転三原則」と打ち込むことで防衛装備移転三原則について取り上げた番組を番組内のコーナー単位で抽出し、比較することが可能になります。

これまででしたら番組単位で個々に録画し、目的のシーンまで早送り等をして視聴していた作業が、このSPIDERによって一気に効率的に行えるようになりました。報道番組研究を行っている私からすると、この機能に限らず使用したい番組が2週間の保存期間内であればいつでも取り出せるのは非常に魅力的です。特に報道番組は生放送であり、再放送されることは無いため「あれっ、自宅のHDDがいっぱいで録画できなかった」という時に重宝しています。

こんなにも便利なSPIDERですが、もちろん課題はあります。特に転送速度の遅さは耐え難いほどです。また転送回数のミスや些細なファイナライズのし忘れなどで何度も失敗をしてしまいました。まだまだ使いこなせてはいませんが、この冬学期はSPIDERを用いて研究を進めていきたいです。