マンガ制作現場の変遷

皆さんこんにちは。時が経つのは早いもので、もう8月になりました。今年の7月はさほど暑くないように感じましたが、今では蝉の鳴き声も多く聞こえてきて、大分夏らしさが出てきましたね。さて、今回のフィールドレビューは私、M2の粟屋が担当致します。

私は長らく研究テーマが固まらず四苦八苦していたのですが(「マンガ」という対象は定まっていました)、6月末頃にようやくテーマが固まりました。テーマは「マンガの制作現場」です。マンガの制作現場の変遷を追うことで、マンガ市場の変化を見る、というものです。

皆さんはマンガがどのように描かれているか、ご存知でしょうか?マンガを読む人は多いと思いますが、マンガがどのような道具で描かれ、どのような制作体制の下で描かれているのか、意外と知らない人が多いのではないでしょうか?

マンガを描く手段は主に2通りあります。ペン書きによる手書きと、マンガ・イラスト制作ソフトを使用したパソコンの2種類です。ペン書きによる手書きは、下書きから黒インキを用いたペン入れ、カラー原稿、効果線などの描写も手書きで行います。一方パソコンによる手法では、下書きからカラー原稿の完成まで、全てパソコン上で行うことができます。

従来は手書きによるマンガ制作がメインでしたが、現在ではパソコンを使用してマンガを制作する人が増えており、初心者でも簡単にマンガが描けるようになりました。もちろん、手書きとパソコン両方を用いるマンガ家さんもいらっしゃいます。(例えば、下書きからペン入れまでを手書きで行い、カラーはパソコン上でペイントするなど)

このように、マンガの制作現場は主にツールの変化によって大きく変化してきました。もちろん、変化の要因はツールだけではなく、その大まかな時期区分・変化を、現在以下のように分けています。

①赤本・貸本時代からトキワ荘時代(戦後〜1950年代後半)

②週刊少年マンガ雑誌の登場と分業体制の確立(1959年〜1960年代)

③TVアニメのヒットとメディアミックスの強化(1963年〜)

④コミックマーケット(同人即売会誌)の勃興(1975年〜)

⑤パソコンツールの登場(1990年代後半〜現在)

詳細を語るとこのブログでは書ききれませんので省きますが、マンガの制作体制はこのように5つの時期に区分することができます。この5つの区分のうち、特に5番目の「パソコンツールの登場」の部分を詳しく見ていこうと考えています。なぜなら、「技術の変化」という視点でこの変遷を見た時、大きなターニングポイントとなるのは5番の「パソコンツールの登場」となるからです。このパソコンツールの登場に関する情報量はまだまだ少ないので、インタビューや文献を通してこれらの調査をより一層深めていこうと考えています。修士論文、これからが正念場です。

8月に本学の大学院入試を受験される方も、試験本番に向けてこれからが正念場だと思います。一人でも多くの人が合格されること、また、丹羽研究室の院生になることを楽しみにしています。

受験生の皆さんも頑張って下さい!