今回のフィールドレビューは、博士課程の蓼沼が担当します。
丹羽研究室では入学を希望する方向けに、説明会や相談会を開催しています。そこでは参加者と研究室メンバーが自由に懇談する場も設けていますが、参加者から多く聞かれる質問の一つに、研究テーマに関するものがあります。確かに、テーマが固まるまでの過程は、外からはなかなか見えにくいと思います。人によって異なる部分も多いのですが、今回のフィールドレビューでは、主に私のケースについて書いてみます。
修士課程でのテーマ固め
丹羽研究室ではそれぞれが、自身の思い入れのあるテーマを追いかけています。研究室Webサイトのメンバー紹介のページをご覧いただくと、取り扱うテーマの幅広さを実感いただけると思います。その意味では、一つの研究室に所属していても、個人事業主のような状態に近いと言えます。(もちろん、ゼミではお互いに研究へのフィードバックを行いますし、プロジェクトでは共通のテーマを掘り下げていくので、協力プレーの側面もちゃんとあります!)
私の場合、入試の際に書いた研究計画書が、研究の出発点になりました。「企業に勤めていて不思議に思ったこと(≒マーケティングが非ビジネスの領域へと転用されていく現象)について研究したい」というものでしたが、修士課程の2年間で扱い切れる内容へと、計画をブラッシュアップする必要がありました。
具体的には、先行研究との差分、自分が扱い切れる分量、手に入れられる資料、無理なく遂行できる方法論といった制約を考慮しながら、計画を具体化していきます。私はその過程で、マーケティングの転用という軸は保ちつつ、それを観察するフィールドを「政治」から「自己啓発」へと移すことに決めました。
ゼミではそれぞれの研究進捗の報告が行われるため、他のメンバーの発表を聞いていると、テーマの固め方のイメージがつかめてきます。また、修士課程ではどれくらいの内容を扱うのが妥当か、という相場も見えてくるようになります。結果的に入試の研究計画書からそれほど大きく変わらない人もいますし、テーマそのものをがらっと変える人もいます(「せっかく学府に入ったのだから、変わるというのはポジティブなこと」と受け止められています)。テーマが固まるタイミングも人それぞれで、私の場合はM1の冬に大枠が決まりました。
※ ちなみに、私の学部生の頃の専攻は教育行政学で、海外で作られた公設民営の学校について調べて卒論を書きました。今の研究テーマとはまったく共通点がないな…と思っていたのですが、ふとあるとき、私は「市場原理とどう付き合っていくか」に関心が強く、それをいろいろな側面から考えようとしているのかもしれないと気付きました。人の関心というのは、意外と変わらないものなのかもしれません!
博士課程へ進学した後
修士課程の頃と同じようにさまざまな制約は存在する一方、博士論文に耐えうるテーマの「太さ」も求められる気がしており、いままさに悩んでいるところです。
最近は、自分の領域に近い先輩研究者の研究テーマの固め方を見ながら考えています。修士課程時代の試行錯誤はなかなか表に出てこないため、ご本人に直接聞いてみるしかないのですが、博士課程以降の研究の過程は、論文というかたちで世に出ていることも多いため、そこから研究テーマの固まり方をうかがい知れる場合もあります。
感覚的には、研究テーマは「固める」よりも「固まる」ものに近いのですが、成り行きに任せていても研究は前に進まないので、そろそろ「固める」意識も必要だなと最近は思っています。