ウェブCMの現在と未来〜第62回ギャラクシー賞CM部門受賞作を見る〜

2025年11月16日(日)、「ウェブCMの現在と未来〜第62回ギャラクシー賞CM部門受賞作を見る〜」が開催されました。このイベントは、東京大学大学院情報学環丹羽美之研究室と、NPO法人放送批評懇談会CM部門委員会が主催したもので、広告・マーケティングの実務家、研究者、学生など幅広い参加者が集まりました。

ギャラクシー賞は、優れたテレビ・ラジオの番組、CM、報道活動を表彰するもので、年度ごとに選考が行われています。今回は第62回ギャラクシー賞CM部門を受賞した15本のCMが、一挙に上映されました。15本のうち7本がウェブCMで、その躍進ぶりが印象的でした。

後半のトークセッションには、家田利一さん(ギャラクシー賞CM部門委員長)、岡野敏之さん(電通/ 同委員)、中橋敦さん(新たな細胞 / 同委員)が登壇しました。同じくCM部門の委員を務め、丹羽研究室に所属する柳志旼さん(社会情報学コース/博士課程)がモデレーターとなり、活発な意見交換が行われました。

話題の中心となったのは、ウェブCMの登場による制作現場の変化について。30秒や15秒という「尺」の制約の中で腕を磨いてきたテレビCM全盛期のクリエイターにとって、時間的制約から解放されたウェブCMの時代は、まぶしいものに映るといいます。

一方で、ウェブCMのクリエイターは視聴者という「人」と、YouTubeなどのプラットフォームとそのアルゴリズムという「機械」の、2つの相手を意識することが必要という、新しい状況に置かれていることも指摘されました。また、広告の領域でもAIの活用が進む中、クリエイティブがもつ役割や可能性はどこにあるのかについても、議論が及びました。

質疑応答では、広告賞の意義や選考基準、ウェブCMの台頭にともなうクリエイティブ設計の変化など、多くの質問が寄せられました。