こんにちは。博士課程の飯田です。今回は、惜しまれながらも6月末に一般向けの公開を終了した「東芝未来科学館」(川崎市)についてレポートします。
東芝未来科学館はその名の通り、総合電機メーカーである東芝が1961年に開設した情報発信拠点。大きくヒストリーゾーン、フューチャーゾーン、サイエンスゾーンに分かれ、当時の製品を陳列したりしながら技術開発の歴史や取り組んでいるトピックなどをPRする場所です。わたしはメディアの〈モノ〉性に関心があるので、そういう人間にとっては「家電」としてのテレビやラジオに触れられる、本当に数少ない場でもありました。
訪れたのは閉館4日前。平日の夕方でしたが、親子や中高年、外国人観光客などでにぎわっていました。私の目当ては入って右にあるヒストリーゾーン。スタッフの説明に耳を傾けながら、白熱電球、扇風機、真空管、ラジオ、洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ、電子レンジ、カラーテレビ、マイコン、ワープロ、ラップトップPC、液晶テレビなどの現物をじっくりみてまわりました。
メディアという〈モノ〉を当時の文脈に置くことで見えてくること(そして、見えなくなること)があります。科学館にはひさしぶりに行きましたが、新たに気づいたことがいくつもありました。そんな経験ができるのも、こういう施設(機会)があってはじめて可能になること。〈モノ〉のアーカイブ実践の重要性にあらためて目を向けせてくれた、今回の再訪でした。