ハーバード大学へ資料調査に行ってきました!

今回のフィールドレビューは博士課程の王が担当いたします。今年3月にハーバード大学に所蔵されている満洲国コレクションを調査に行ってきました。

今年の3月中旬にハーバード大学へ資料調査に行ってきました。ハーバード大学イェンチン研究所(東アジア研究)の図書館は中国、日本、韓国ひいては戦時期の満洲国に関する一次資料のコレクションを所蔵しています。本学の吉見先生の協力で日本と満洲国のコレクションの担当者に直接に伺ってから、東大とハーバードの図書館訪問利用協定を使いながら、東大の学生証を提示することだけで資料の閲覧とコピーができます。

また、以前研究関係で知り合いになったハーバードの東アジア専攻の中国人留学生の案内と手伝いのおかげで、ボストンに到着したまもなく、図書館の利用方法、キャンパス周囲の美味しい店などについてだいぶ早く把握できるようになってきました。さらに、東アジア各国出身の職員と東アジア各国の言語を話せる職員が非常に多く、学生がほぼ四カ国の言語ができる一方、どこでも見られるほどキャンパス内の中国人留学生が非常に多いため、環境に素早く慣れた私は滞在中で不自由もなく効率よく作業を完成しました。

ハーバード大学のキャンパス風景

こんなハーバード大学の東アジア研究専攻は具体的にどんな特徴があるのでしょうか。まず、資料分類の仕方は日本と中国の大学と異なります。貴重な一次資料がほぼ国別に各コレクションに分類されていることに対して、部分的な一次資料、一次資料の復刻版や二次資料がイェンチン図書館でテーマ別に分類されています。たとえば、図書館の「鉄道」エリアで中日韓の鉄道に関する書籍と資料が並んでいます。そして、博士課程の学生の研究テーマは同時代の中日韓(満)の文学や映画を一括的に研究対象として設定するのもオーソドックスな方法そうです。

さらに、修士・博士課程の留学生では中国人が圧倒的に多いです。研究科HPの在籍学生のリストで日本人留学生が一人しかいないということなど。こんな環境でイェンチン研究所一階の掲示版のポスターが示すとおり、中国研究が盛んにされているうえ、「トランスナショナリズム」と「中国」はまさしくここのキーワードではないだろうかと思うようになりました。

イェンチン研究所一階の掲示版

日本映像学会の会報(2017年4月)で、「多くの人文系の大学院では定員が充足できないことに四苦八苦し、中国からの留学生を頼みの網になんとか生き延びているという現状であろう…このような状況の中で、私たちはどのような人材を育てるべきなのか」という指摘が載せています。経済成長が継続している中国における留学ブームに影響せずにはいられない日本では、中国人留学生の激増により、人文学の教え方や研究の視点やひいては大学のあり方が変遷することが可能なのでしょうか。世界が向き合わなければならない中国人留学生の一人としての私は今後の日々の変化を楽しみにしています。

ボストンの名物ロブスター