2014年7月11日(金)、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビアーカイブ・プロジェクト第16回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。今回は、2013年に中京テレビで放送され、第51回ギャラクシー賞優秀賞を受賞した『ニッポンの性教育 セックスをどこまで教えるか』を取り上げました。
この番組は身体の早熟化と氾濫する性情報のなかで戸惑う小中学生たちに向けて「いのちの授業」を実践するNPO団体の女性たちを中心に取材しています。学校でもテレビでも取り上げにくい「性教育の必要性」に正面から取り組んだドキュメンタリー番組です。
上映後は、この番組を制作した中京テレビ報道局の安川克巳さんに、番組制作のきっかけ、現在の性教育やその報道のあり方についてお話を伺いました。安川さんによれば、「いのちの授業」に取り組むお母さんたちとの出会いがこの番組を作るきっかけとなったそうです。性教育をめぐっては、家族やジェンダーなどを論点とする政治的に対立する立場があり、学校でもメディアでも取り上げにくくなっているということでした。
会場には、研究者、学生、報道関係者、学校関係者、一般市民など40名以上の参加者が集まり、このテーマに対する関心の高さを伺わせました。2000年代以降に行われた「性教育バッシング」の実態、学校現場やメディアの萎縮、諸外国の性教育の取り組み、ジャーナリズムの役割などをめぐって、活発な質問・意見交換が行われ、とても充実した会になりました。
「みんなでテレビを見る会」では、今後も、テレビ番組の名作や話題作を紹介すると同時に、第一線で活躍する制作者やジャーナリストと語り合う機会を積極的に設けていきます。次回は10月頃開催予定です。