みなさんこんにちは。今回のフィールドレビューは博士課程1年の萩原が担当いたします。最近まで海外へ行っていたため、フィールドレビューの更新が遅くなり、申し訳ありませんでした。とても暑い日が続いていますが、修士論文執筆や学際情報学府の大学院入試など、丹羽研究室の学生はそれぞれ忙しい夏休みを過ごしています。今回のフィールドレビューは私の研究対象である雑誌をどのように手に入れているかということについて書きたいと思います。
みなさんご存じとは思いますが、雑誌とは季刊や月刊、週刊などといった一定の間隔で出版されるメディアです。そして雑誌には様々な著者が寄稿した論文や記事が掲載されています。後々雑誌の連載が書籍化することや、その著者の書籍に収録されることも多々ありますが、雑誌というメディアは一過性を持つという特性を持っています。
その特性を持つため、雑誌を研究することが難しい場合もあります。現在でも続く出版社や雑誌社、そして発刊を続けている雑誌などは出版社にバックナンバーがある場合もあります。また、売上部数の多かった雑誌や有名な雑誌はバックナンバーが揃っていることが多くあります。しかし、少数の売上しかなかったものや、現在で無くなってしまっている出版社から出版されていた雑誌などのバックナンバーを揃えることは困難です。同人誌などの雑誌は尚更です。また、当時の雑誌が残っていても保存状態が悪かったり、個人の手元にしかないなど、読める状態にないものもあります。これらの状況は雑誌に限ったことではなく、現在丹羽研究室で進行中の記録映画プロジェクトも同じような(むしろ雑誌よりも悪い)状況にあります。失われていくメディアをアーカイブ化することで、研究などの様々な用途に活用することが目指されています。
しかし、一過性のメディアである雑誌も研究のために手に入れることは可能です。それらの一つの手段として「大宅壮一文庫」という雑誌専門の図書館があります。(http://www.oya-bunko.or.jp/index.htm)大宅壮一は大宅壮一東京マスコミ塾の開講や、大宅壮一ノンフィクション賞が発足するなど日本を代表するジャーナリストであり、ノンフィクション作家でもあります。大宅は独自の分類方式によって雑誌などの資料整理を行い、20万冊ほどの蔵書を残しました。それを元に大宅壮一文庫が設立され、現在では日本唯一の雑誌専門の図書館として機能しています。ここでは週刊誌、総合雑誌からアニメや芸能、趣味などの様々な雑誌を閲覧・複写することが可能です。公立の図書館とは異なり、多少の利用料金はかかりますが、雑誌の蔵書数や種類は非常に多いというところがこの図書館の利点です。
また雑誌専門の古書店も存在しています。その一つが東京・神保町のブンケン・ロック・サイドという古書店です。ここではサブカルチャーや音楽、アニメ、ファッションなどに関する雑誌のバックナンバーが揃っています。神保町には様々な専門の古書店があり、神田古書店連盟に所属している163店が店を構えています。軍事や美術、古書籍や外国書籍、社会科学や哲学などの専門書店があります。そこには様々な雑誌のバックナンバーがあり、すべてが揃っているわけではないですが、自分の手元に実際の雑誌を手に入れることができる素晴らしい場所です。また、希少なものや昔のもの以外の雑誌はとても安く手に入れることができるので、研究とは関係のない本も買ってしまいがちなところが困ってしまいます。
最後にもう一つ、雑誌のバックナンバーが揃っている場所といえば図書館です。市立や区立図書館では雑誌の蔵書数は少ないですが、大学の図書館には雑誌のバックナンバーが非常に多くあります。現在私が所属している情報学環・学際情報学府の図書館には総合雑誌や週刊誌、文芸誌などの雑誌のバックナンバーが戦前のものから製本され、所蔵されています。製本されていることで、研究に活用することが容易になり、閲覧や複写もしやすくなります。また複数の号が合わせて製本されていることによって、一つの号が紛失するなどといったことも少なくなります。大学の学生や職員でなくとも、入館手続きを行えば閲覧は可能ですし、特に東京大学では各研究科によって蔵書の種類やジャンルが異なるので、様々な書籍を見ることができます。修士論文執筆の際は情報学環の図書館に通い詰めました。
以上、私が研究をするなかで雑誌やその記事を手に入れた手段を紹介しました。これらの方法以外にも、最近ではインターネットでの販売が非常に多くなっており、簡単に雑誌のバックナンバーを手に入れることが可能となっています。ただ、自ら足を運んで、いくつもある雑誌の中から手に入れたいものを探し出すのも楽しいですよね。