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「記者たちの眼差し」視聴レポ

作者: Suzuki Maki | 2012年5月03日Posted in: テレビアーカイブ

2012年4月20日、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、テレビアーカイブ・プロジェクト第4回「みんなでテレビを見る会」が開催されました。

第4回は、「東日本大震災とテレビ(2) 記者たちは何を伝えたか」をテーマに、JNNルポルタージュ『3・11大震災 記者たちの眼差し』を上映しました。この番組は、JNN各局の記者による約8分の取材レポートをつなぎ合わせたオムニバスドキュメンタリーです。2011年6月・9月・12月、2012年4月にTBSにて放送されました。

2011年3月の震災直後、新聞やテレビなどのマス・メディアは全国各地の記者を被災地に結集させ、特別報道態勢を敷きました。そのような中で、被災地を目の当たりにした記者個人の悲しみや憤り、驚きや戸惑いなど、取材で自問自答する心の軌跡が、このドキュメンタリーにはありのままに表現されています。その中でも象徴的なものが記者の涙です。震災で多くのものを失いながらも、生きている人々の姿に、記者は思わず涙を流してしまいます。被災地での窃盗を目の当たりにし、答えの出ない問いをかかえ、懊悩する記者のレポートもありました。

上映後は、この番組を構成した秋山浩之さん(TBSテレビ「報道の魂」プロデューサー)に、お話しいただきました。秋山さんは、この番組を「二つの思い込み」との闘いだったと総括されていました。「記者は客観的でなければならない」、「記者は強くなければならない」という思い込みです。報道の現場では、記者は毅然と対象者に向き合い、事実を正確に伝えることが求められます。記者個人の感情は排除しなければならないということです。秋山さんは、もちろんそうした原則も大切ですが、この番組では記者の思いをしっかり表現してもらうことに努めた、とおっしゃっていました。

お話のなかで、秋山さんが「一人称は歴史を超える」とおっしゃっていたのが印象的でした。自分の感性で突き詰めていったテーマ、自分の言葉で表現したものは時代状況に制約されず伝わるものがある、というお話でした。改めて、テレビの現場の方々が何を考えているのかを直接聞くことができるのは、とても貴重な体験だと感じました。

当日は、50名程の幅広い層の参加者にお集まりいただきました。ディスカッションでは、番組の制作体制や受け手の反応、今後のテーマなどについて活発な意見交流が行われました。第5回の「みんなでテレビを見る会」にも、どうぞご期待ください。

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