フィルムセンターを見学してきました!

今回のフィールドレビューは研究生の王楽が担当いたします。「フィルムセンター」と、タイトルに書けば、「いいね、映画館に行ったんだ……!」と、思うかもしれません。はい、そうです。確かに映画を見ましたが、実はこの「映画館」は普通の映画館ではありません。今回報告させていただきたいのは、東京国立近代美術館フィルムセンターです。

東京国立近代美術館フィルムセンターは普通の映画館と形態が異なります。日本の唯一の国立映画機関として、映画をきちんと保存し、上映を実践できる、とても珍しい場所です。そして、数万冊の映画図書、数多くのシナリオ、ポスター、映画機材も所蔵されています。

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私の研究対象は、主に満州映画協会を中心に置いています。その複雑な歴史を客観的に捉えるため、日中映画それぞれがどのように成長したか、お互いに越境してどのように受容されたかなどについて理解を深めなければなりません。なので、関連文献を読むだけでなく、文献に描かれた映画と名優の魅力を実感したほうがいいのではないかと思い、映画女優・香川京子さんの映画上映会に行って来ました!

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上映会は大ホールで行っていて、座席数は310席です。上映されたのは今井正監督の名作で、香川京子さんが出演する『ひめゆりの塔』(1953)でした。平日なのに観客がたくさん入っていて、さすが大ヒット作品だったのだなあと思いました。この映画は沖縄戦で看護に徴用され戦争の犠牲者となった女子学生たちの悲劇を描いています。『ひめゆりの塔』は「ひめゆり部隊」の苦難を映像化した反戦映画の傑作だと言えます。

この映画で印象に残った場面がいくつかあります。例えば、戦時中ではめったにありつけない缶詰の果物を分けて女子学生に与えた将校が、妹を探すため防空壕から外に出ようとする女子学生を射殺する場面は意味深くて示唆に富むと思いました。

 そして、戦争と「軍国主義」を批判するための反戦的なシーンが印象的です。戦時期のつかの間の平和の中で、入浴する女学生たちの姿が健康的に美しく描かれています。このシーンでは、意図的に少女たちが何度もクローズアップされます。その後まもなく、教師や生徒が米軍から逃げられないとあきらめて、日本軍から渡された手榴弾で自決するラストシーンとなります。この2つの場面のコントラストは衝撃的かつ残酷で、悲しみを感じずにはいられません。この作品を見て、日本の映画と名優たちのカリスマ性に惹かれました。

ということで、次は展示室に行きましょう!

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7階は映画専用の展示室です。この展示室では、香川京子さんを主題とする展示会もあります。写真、ポスター、CD、手紙などにより、時間と空間を超えて、彼女の一生を振り返ることができます。

香川京子さんの展示会とともに、今、「日本映画の歴史——時代を超えて語りかける映画史の証言者たち」というテーマの展示も行われています。展示会ではいろいろと勉強することができ、そのポスターにもあるように「日本映画史の新たな学びの場」だと思いました。年代順によって日本の映画史が6段階にまとめられ、その時代の俳優・監督・撮影所・ジャンルなどに関するポスター、写真、雑誌、ビデオによって、豊かな日本映画の歴史の流れが生き生きと面白く語られています。さらに、斬新な「アニメーション映画」のコーナーも設置されています!

また、4階の図書室には映画関連の本があり、映画が好きな方にとっては、まるで極楽のようですね(笑)。ここでは、映画にまつわる和書、洋書や最新の映画雑誌を無料で閲覧することができます!

最後に、フィルムセンターのスタッフの皆様、写真を撮らせていただいて本当にありがとうございました。東京には、ユニークな映画館がたくさんあるそうです。ぜひ個性的な試みを行っている映画館にいってみたいですね。それでは、今回のフィールドレビューは王が担当いたしました。

東京国立近代美術館フィルムセンター http://www.momat.go.jp/FC/fc.html