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ラジオドキュメンタリーって何だろう

作者: Yuasa Michika | 2011年10月18日Posted in: フィールドレビュー

第6回フィールドレビューは修士課程2年の湯浅がお送りします。ずいぶん寒くなったと思ったらまた暑くなったりして、衣替えがなかなかできずにいます。今回は、私の研究しているラジオドキュメンタリーについてお話ししたいと思います。

ラジオドキュメンタリー、なんて言っても「そんなものがあるの?」といわれることがほとんどです。存在を知っていても聴いた事がある!という方は随分少ないんじゃないかと思います。

ここ何年かの間で一番聞かれたラジオドキュメンタリーは、文化放送で2008年5月6日に放送された報道特別番組「死刑執行」です。大阪拘置所が刑務官の教育のために死刑執行を録音したテープと、関係者への取材により、それまで一般に知られることのなかった死刑の現実を伝えました。これは非常に映像にしにくい題材です。ラジオには、映像にできないものを聴取者に伝えるという役割がありますよね。

1999年北海道放送制作の「Dr. キリコの遺言」は人の心の闇を描いた作品です。青酸カリ宅配事件に端を発し、その後も青酸カリを持ち続ける女性に取材し、自殺願望者の抱える悩みや葛藤に迫りました。テレビで同じテーマを扱ったとしたらどういう番組になるでしょう?青酸カリを持っていること、自殺願望があること、それはテレビの前で顔をさらして語るのが非常に難しい事実です。恐らく顔にはモザイクが、声には音響効果が施されるでしょう。

映像には情報が多すぎるのです。モザイクや、映し出される背格好に目がいき、発せられる言葉の重みや言葉の裏にある発話者の感情に集中できない場合があります。ラジオの場合は、与えられる情報は音だけです。情報が少ない分、その人がどんな人で、どんな場所で何を語りたいのか、聴取者は頭の中で補完しながら聞きます。これがまた、ラジオドキュメンタリーの魅力の一つだと思います。

映像はどんどん技術が進化して、今ではどこにいっても3Dという言葉が聞かれるようになりました。リアルなものを求める人間の欲望は尽きることがありません。ですが、どんなに技術が進化しても、人の心の奥は映せません。言葉の力によって、心を鷲掴みにされるような、そんな経験をみなさんもしてみませんか?興味がある方は私のところに来て下さいね。お勧めの作品を紹介しますよ。

さてさて、今回のフィールドレビューは写真が無くて申し訳ありません。どんな番組なのかな〜?と頭の中で色々想像してみて下さい。次回は博士課程の松山さんです。乞うご期待!