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中国の農村映画巡回上映について

作者: Wang Le | 2014年8月24日Posted in: フィールドレビュー

今回のフィールドレビューは、修士課程の王が担当させていただきます。現在中国の農村でよく見られる映画巡回上映の初期活動について、少しお話したいと思います。

1998年に実施された中国の国家プロジェクト「広播電視村村通」を通して、西部の一部の地域を除いて、8割の農村家庭までテレビを普及してきました。しかし、農村におけるテレビの普及が多数の中国の農村に存在する一種の公共空間の崩壊に拍車をかけていると言えます。この公共空間は村民が1つの場所に集合し、日常茶飯事などをめぐって一緒に感想を話し合う空間です。この弱化されつつある公共空間に間断なく活力を注ぐのが中華人民共和国建国以降、国家プロジェクトとして全国規模で系統的に行われている農村映画巡回上映活動です。月何回も行われた野外映画の上映の場で、全村の老若男女が集まって、映画を見ながら感想を交わす記憶が、農村に住んだ経験がある両親世代の中国人に共有されています。 

建国の1949年から文化大革命終わりの1976年まで、政府の研修を受けて活躍した巡回上映隊が600隊から5万隊まで増えてきましたが、実は当時の映画発展は凋零な映画創作と上映規模が共存したという極端的な不均衡状況に陥ったため、映画業の発展が分裂されてしまったと言えます。その上映規模の大きさは映画があの時代の政治利用の道具とされた証拠です。

しかし、いかに上映規模が拡大されたとしても、映画の内容が1950年代の文盲の中国農民にとって、極めてわかりにくかったため、映画の意味が伝達されることが難しかったといえます。そのため、政治宣伝を成功させようとした上映員が映画を上映しながら、「映写前、映写中、映写後」の宣伝工作もしました。例えば、映画の中に出現したセリフとナレーションを全部当地の方言で通訳すること、漫才の形式あるいは幻灯機を通してシーンとシーンの間の関係を説明すること、映画の内容と類似した現実の例を通じて新政府の合理性を説明すること。このような上映員の宣伝とともに、当時の映画上映の宣伝政策、イデオロギーの影響、カタルシス心理などのために、同じ映画が何回か上映されても農民たちが飽きずに積極的に見にきました。 

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都市の中に誕生した映画が都市の映画館に上映されることは当然なのですが、映画の観客も都市の人々とされるのも自然の成り行きと見られるべきでしょうか。

都市の映画館空間と遠隔した農村巡回上映では映画が一種の未完成のテキストとして上映員の宣伝工作のテキストを加え、観客の農民に受容されました。中国の農村部で行われているこの映画巡回上映活動が65年を経て、すでに農村文化の不可欠な一部分になってしまいました。

映画を用いて、誰が、いかに、誰に、何を伝達したのか、その効果がどうだったのかについて検討する場合、映画の創作だけではなく、映画の上映も視野に入れる必要性があるのではないかと私は思います。