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学生記者による「ヒマワリ学生運動」取材

作者: Wang Chih-Ling | 2014年5月22日Posted in: フィールドレビュー

こんにちは。今回のフィールドレビューは交換留学生の王姿琳が担当させていただきます。皆さんご存知の通り、2014年3月18日に台湾では、学生と市民らが立法院(日本の国会にあたる)を占拠した学生運動が始まりました。事件が発生した当初、台湾メディアでは318学運・占領国会事件と呼ばれていましたが、他にもヒマワリ学生運動や太陽花学運などという呼び方があります。

今回のデモ事件が発生したのは、2013年6月に馬英九政府が国民に全く説明せずに、不透明なまま「サービス貿易協定」の調印を発表したことに起因します。この協定の中には台湾の社会経済やサービス業に大きな衝撃を与えるばかりではなく、国家の安全にも影響を及ぼす内容が含まれているからです。こうした不透明な協定に、国民の疑問の声が高まりました。

まず、この事件の経緯を説明します。2014年3月17日に立法院の委員会で、両岸のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」の批准に向けた審議が行われていましたが、与党(国民党)が立法院で過半数を握っていることを背景に一方的に審議を打ち切り、強行採決しました。そのため、国民の不満を招いて反発が広がりました。

2014年3月18日午後6時(台湾現地時間)ごろ、サービス貿易協定に反対するデモが行われ、同日午後9時過ぎになって、300名を超える学生のデモ参加者が立法院議場内に進入しました。立法院が学生に占拠されることは前代未聞の出来事であり、立法院の外でも、学生たちを支持する市民が数千から数万人ほど集まり、デモを開きました。

台湾のメディアはもとより、各国のメディアも今回のヒマワリ学生活動を報道しました。しかし、台湾の各報道局にはそれぞれの立場があり、その内容は国民にとって公正なニュースと言えるものではありませんでした。

その一方で、私の所属する大学院、国立台湾大学新聞研究所(以下では新聞所)の学生たちも、市民記者としてデモ活動の取材を行っていました。30名の記者が24日間途切れずに立法院の中外の現場で取材し、その記事は2人の編集長にとりまとめられて、経営しているフェースブックのファンページを通じて発表されました。以前はそのページを購読している視聴者は100人程度だったのですが、デモ活動が終わった時点では10万人を超える程になっていました。コメント欄からは、読者が記事をかなり信頼していることがわかり、記者たちを励ます内容のものもありました。

学生の記事が信頼された理由には、台湾の国民のマスコミへの信用の低さと、新しいメディアへの熱望があったからだといえます。また、新聞所の学生たちはほぼ全員が記者志望であるために、実際の現場で取材し、映像や記事などにまとめるという課題も新聞所では頻繁に出されるのですが、今回のヒマワリ学生運動は学生にとって日頃の訓練を試す絶好のチャンスでした。学生たちは皆、公正な視点で新聞記事を書き、新聞倫理を貫き通そうと励みました。

私は勉強をしながらも、記者として現場で取材し、新聞やニュースなどを作りたいとずっと考えてきました。ですから、今まで多くの場所に取材に出向いてきた経験があります。しかし、残念ながら今は交換留学生として東京にいるので、台湾に戻ることができず、今回の取材活動には参加できませんでした。日本の大学でも、こんな実践的な課程があれば、学生たちは実際に取材したり、インタビューしたりする能力を身に付けることができるようになると思います。