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アートアーカイヴサイト「post」

作者: Inami Yoshitaro | 2013年12月12日Posted in: フィールドレビュー

こんにちは。修士課程の井波です。 私は資料アーカイヴ、特に資料のデジタル化を専門としています。 今回はMoMAのアートアーカイヴサイト「post」について書きたいと思います。  

2000年代に入り、様々な資料のデジタル化とその公開が加速度的に進められてきました。 例えば、「国立国会図書館 デジタル化資料」(http://dl.ndl.go.jp/)や「東京国立博物館 国宝」(http://www.emuseum.jp/)、「豊田市美術館 所蔵作品」(http://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/) などのウェブサイトが整備され情報の公開がされています。

しかしこれらは、個々の運営組織が所有しているコレクションを公開しているにすぎず、アクセスしてくる閲覧者との双方向性もありません。 2013年1月、MoMA(アメリカ・ニューヨーク近代美術館)が、「post: notes on modern and contemporary art around the globe」というサイトを立ち上げました。 この「post」は、それまでなかった双方向性を重視した前衛芸術アーカイヴサイトです。

postのポリシーは「MoMAのコンテンツを押し出すのではなく、世界各地のパートナーと一緒にコンテンツを考え、そのコンテンツをウェブで共有・公開することによって、パブリックによるディスカッションを行う場を提供することをゴールとしている。」となっています。アーカイヴは大きく地域別、テーマ別、作家別で分類されています。ユーザーIDを作成することで、誰もが、画像、ビデオおよびテキストを投稿することができ、投稿者どうしでディスカッションすることも可能です。  

サイトの運営は、MoMAのリサーチチームC-MAP(Contemporary and Modern Art Perspectives)が行っており、これまで盛んに研究されてきた西ヨーロッパや北アメリカの前衛芸術史をベースに、更なる研究の広がりを求めて「東アジア」「南アメリカ」「東ヨーロッパ」の3グループに分かれて行っているアーカイヴ活動のポータルサイトでもあります。まだコンテンツは充実とまではいっていませんが、少しずつ増えていっており、ウェブシステムも運営しながらバージョンアップを行っている様です。   

東アジア地域は日本を軸としており、草月アートセンター、実験工房、松本俊夫、横尾忠則といったアーティストたちの映像・音声・写真・テキスト・二次資料などを公開しています。 これらの資料は、作家本人はもとより「慶應義塾大学アート・センター」「日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」「戦後映像芸術アーカイブ」といった外部組織も提供し、C-MAPの活動に協力をしています。  

私も「戦後映像芸術アーカイブ」の一員として、映像作家・松本俊夫氏の資料の保存・整理、デジタル化を進めている一人でもあります。 すべて英語テキストのみのサイトですが、一度アクセスして資料を閲覧してみてください。 「post: notes on modern and contemporary art around the globe」 http://post.at.moma.org/