10月
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フランスの映像アーカイブ

作者: Matsuyama Hideaki | 2011年10月31日Posted in: フィールドレビュー

第7回フィールドレビューは、博士課程1年の松山秀明が担当いたします。私は修士課程より、テレビ・アーカイブを用いたテレビ番組研究を行ってきました。いまだ閉ざされた状況にあるテレビ・アーカイブの公開を促進させ、新しいメディア研究を確立していくことがもっぱらの目標です。私は丹羽研の初期から関わっていますが、こうして研究室HPが完成し、ブログが頻繁に更新されるのを見るにつけ、なにか感慨深いものがあります(笑)さて、今回は、丹羽研の歴史についてでも、自分の研究についてでもなく(笑)、つい最近行ってきたフランスの話をしたいと思います。(注:長文です)

去る10月15日から26日まで、私は「東大フォーラム」に同行する形でパリとリヨンに行ってきました。東大フォーラムとは、東京大学と海外の大学との研究交流・学生交流を目的に、2年間に1度開催されるイベントのことです。例えば4年前は韓国、2年前はイギリスで開催。そして今回がフランスというわけです。東大の学生にもあまり知られていないかもしれません。詳しくはHPをご参照ください。http://forum.dir.u-tokyo.ac.jp/?lang=ja

渡航中は基本的に東大フォーラムのイベントに出席していたのですが、その合間に、フランスの映像文化(アーカイブ)に触れてきたので、ご紹介したいと思います。(研究を目的に渡航したわけではないため、あまり有益な情報はないと思いますが。)

まずは、リュミエール博物館

映画好きならば誰もが知るリュミエール兄弟。「映画の父」として讃えられる彼らの博物館がリヨンにあります。リヨンの中心部から少し東に、地下鉄でおよそ15分。彼らの邸宅がそのまま博物館として公開されています。地下1階、地上3階建てです。

6ユーロを払って中に入ると、1階には、彼らが製作したシネマトグラフ以前のカメラ群、そして、シネマトグラフNo.1が置いてあります。2階に上がるとリュミエール一家の家族写真、リュミエールの部屋などがあり、彼らの生い立ちが展示されています。3階と地下1階は上映スペースになっており、多くの人がリュミエールの映画に見入っていました。(残念ながら3階にあるレイモン・シラ図書館は改装中で中に入れませんでしたが、この図書館には7000冊を超える蔵書があり研究者や学生に公開されているようです。)

しかし、何と言っても感動したのは、リュミエール博物館の隣です。

邸宅(博物館)の隣には、かつてリュミエール兄弟の父親が所有していたという工場の跡地があります。いわずもがな、ここで世界最初の実写映画『工場の出口』が撮影されました。1895年。いまから116年前のことです。

この出来事がなければ、この跡地がなければ、そもそも丹羽研の研究は成立しません。(言いすぎかもしれませんが笑)。映像はここから始まったと考えると、感動がこみあげてきます。ちなみに現在、映画館になっています。しかし、その建物内部には工場の跡がいまだ保存され(もしかしたら複製?)、それも映画好きにはたまらない仕掛けになっていました。

次に、パリ。ポンピドゥー・センターについて紹介したいと思います。

レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースが設計した、まるで工事現場のようなこの美術館は、ルーブル美術館、オルセー美術館と並ぶパリの3大美術館のひとつと言っていいでしょう。20世紀から現在までの現代美術に触れることができます。

そのポンピドゥー・センターの正面広場の反対側に、実は、公共情報図書館(Bibliothéque Centre Pompidou)なるものの入口があります。この図書館は、約37万点のマルチメディア資料(印刷物、オーディオ、映画、CD)などを所蔵しており、誰でも利用できます。

正面の華やかさとは対照的なんだろうなあと思って行ってみたら、なんと入口には長蛇の列が。なんで図書館入るのに並ばなきゃいけないんだと思い、入るのを何度も諦めかけましたが、なんとか15分ほど並んで図書館の中へ。(ちなみに、入場無料。)エスカレーターを昇って2階に行くと、なにやら視聴ブースのようなものがありました。

20人ほどの人がヘッドホンを付けながらそれぞれの画面を見ています。近づいてそっと覗きこむと、なにやら皆「テレビ番組」を見ているようです。パンフレットにも「TVs of the world」とあるので、おそらく過去のTV番組が見られるようです。残念ながら、次に予定がありすぐに出なければならなかったため、どのようなコンテンツが見られるのかまで把握することはできませんでした。そして、その奥には、美術館のデジタル資料を見れるブースも完備されていました。

正面入口の観光客でごったがえす華やかさとは対照的に、しっかりと研究利用のためのスペースがある。フランスの「美」に対する素晴らしい姿勢をポンピドゥー・センターに行って実感しました。

なお、今回の滞在中、INA(フランス国立視聴覚研究所)を訪問することができませんでした。ご存じの方も多いかと思いますが、INAは世界最大の映像アーカイブとして知られています。アーカイブ総数は実に400万時間(2007年末時点)。これらのアーカイブはINAテークと呼ばれる施設で視聴が可能です。INAテークはフランス国立図書館内にあり、パリの南東部、セーヌ川沿いに位置しています。

今回、私がINAテークに行かなかったのは、完全に場所を勘違いしていたためです(パリのだいぶ東にあると思っていました)。帰国後に中心部にあると知り、愕然としました。いまだに行けなかったことが残念でなりません。ですが、博士論文執筆にあたって、INAの訪問は避けられないので、また行った際には、こちらで報告させていただきたいと思います。

以上、フランスと映像について、松山が担当いたしました。次回は丹羽研の盛り上げ担当、松井英光さんです。乞うご期待!