『西野ン会議』が意味すること

こんにちは、今回のフィールドレビューは博士課程のキムがお届けします。皆さん、フジテレビドラマ『世にも奇妙な物語』シリーズはお好きですか。私はホラーは怖くてあまり見ない派なのですが、このシリーズは大好きです。内容も斬新で、見た後一回考えさせられるところも好きです。

数日前、私は『世にも奇妙な物語’20夏の特別編』のスペシャルコンテンツとしてインターネットに公開されたゲーム『世にも奇妙なオンライン会議〜西野ン会議(ニシノンかいぎ)〜』があるということを知りました。今日はそれを見て思った感想を語りたいと思います。


画像:時事通信ドットコムニュースの2020/11/05 16:16 記事より
URL: https://www.jiji.com/jc/article?k=000000350.000014685&g=prt

まず、『西野ン会議』は’コロナ禍で広がった「オンライン会議」を舞台にした新時代の恐怖体験’だそうです。URLにアクセスして仮想のオンライン会議に入場すると、物語の登場人物として参加することができる、という仕組みです。まるで私達が日常的に接するオンライン会議のワンシーンのような雰囲気の中、いきなり西野ンという異形の存在が現れ、ゲームをしていきます。ゲームで西野ンに選ばれた会議参加者が次々と画面から消えていってしまい、リアルな恐怖の中で一人残されると、「次はあなたですよ」みたいな感じでゲームは終わります。

コロナ時代、変化した日常とその中で感じられる複雑な感情が、ゲームやドラマ、広告、映画など様々なメディアのコンテンツの中でも反映されている事例がたくさん見られます。コロナ禍の中の恐怖は、ただ感染への恐怖だけではないでしょう。オンラインという距離感、そして人種差別や経済的危機、社会的封鎖や孤立など様々な不確実性と不安も含まれると思います。そしてこのようなコロナ禍の恐怖は社会に蔓延り、それはもうすでに色々なメディアコンテンツに反映されています。

西野ン会議もその一つだと思います。コロナ禍の中、私達が抱いている一種の未知の恐怖、例えばインターネットを使って会議をする場で、つながってはいるけど妙に離れているような慣れない違和感とか、一緒にいるけど物理的な距離感が覚えられるとか、その感情から来る恐怖がこのゲームには描かれているのではないでしょうか。「オンラインという場所で新しく経験するようになった違和感」が、このゲームでは西野ンという異形の主体として表れてユーザーをゾッとさせたと思います。

メディアは時代や社会を映す鏡でもあり、またそのコンテンツが人々に影響を及ぼしながら社会と相互作用していくものですよね。その活発なコミュニケーションをどう解釈し、意味づけていくかはとても重要だと思います。コロナ禍が収束したら、このゲームみたいな事例が持つ社会的コンテクストの中の意味もより明確に捉えることができると思います。そのことを楽しみにしながら、コロナ禍が早く収束することを心から願っています。

ちなみに、ドラマや映画、ゲームなど仮想の話でコロナ時代の恐怖を経験することは、ある程度不安を解消し、危機状況を間接経験するという意味で心理的にも良いという心理学の研究結果もあるらしいです。確かに不安が多いこの頃ですが、様々なメディアのコンテンツから新しい発見をしながら心理的面の健康にも心掛けてはいかがでしょうか。