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サウナとテレビの蜜月

作者: Arai Shun | 2020年2月10日Posted in: フィールドレビュー

先日、無事に修士論文の提出と口述審査を終え、どこぞに潜んでいた疲労がドッと湧いて出てきている丹羽研究室修士2年の荒井です。修論執筆でシリアスな文章を書き続けていた反動もあり、今回は少しゆるめの内容でお送りしたいと思います。

ということで、疲労を取るべく温泉に行ってきました!

今回訪れたのは、学部時代から節目の時に訪れている横浜はみなとみらいにある万葉倶楽部。温泉とは言ったものの一番の目的は何と言っても「サウナ」であります。サウナのどこがフィールドレビューなの?と思われるかもしれませんが、侮るなかれ。実はサウナはメディア研究の対象でもあるテレビと意外と関係が深いものなのです。


(出典 https://www.manyo.co.jp/mm21/yudokoro)

昨年一大ブームになったのが、タピオカミルクティ...ではなく、そう、サウナです。少なくとも私の擬似環境ではそうでした。そのブームの火付け役となったのが、昨年の夏、毎週金曜の深夜にテレビ東京で放送されていた『サ道』という番組です。講談社刊のマンガを原作としており、主人公演じる原田泰造が謎のサウナー「蒸しZ」の後を追いかけて、毎回、実際にある全国各地の名サウナを訪れるというのが基本的なストーリーです。

ですが、ストーリーそのものより、プライベートでも大のサウナ好きの原田泰造が独白的なナレーションとともに各回のロケ地となるサウナを堪能する姿が一番の見どころです。この番組の放送開始後には『サ道』のポスターを銭湯で見かける機会が増えました。こうしたブームをつくるメディアとしてテレビの影響力が依然として大きいこともうかがえます。


(出典 https://www.tv-tokyo.co.jp/sa_una37/dvd/)

サウナとテレビの関係は『サ道』だけにとどまりません。サウナによく入る方はご存知かもしれませんが、サウナによく置かれているものがテレビでもあるのです。自称サウナ評論家の私の経験からすると、半々の確率でテレビが付いているでしょうか。

テレビ付きのサウナに入っていて思うのは、サウナは見ず知らずの人たちとテレビを見る稀有な経験を味わえる空間であるということです。タオル一枚しか持たないサウナでは、自然とみんなテレビを見ることになります。

テレビ史を振り返れば、テレビは当初は街頭などで「みんなでみる」ものとして始まりました。時が経つ中で、それは次第に一家に一台となってお茶の間で見るものとなり、さらに一人に一台となって個室で見るようになり...と徐々にパーソナルなメディアとなっていったという歴史があります。

そんななか、みんなでテレビを見る数少ない機会をサウナは提供してくれるのです。バラエティのお決まりのくだりでも意外とみんな笑うんだなとか、林修先生はやっぱすごいと思われてるんだなとか、番組に対するリアクションを見ていると色々と発見があります。


(出典https://www.jtb.co.jp/kokunai_hotel/htl/4238064/bath/)

サウナは基本的に6〜12分間入るものですが、「一瞥のメディア」とも言われるテレビはこのサウナのサイクルにも適しています。番組内で細かく分割されたコーナーやそれを説明するテロップは、入退室の多いサウナーであっても番組に入っていくことを可能にします。一方で、CMをまたいでも視聴者を離脱させないテレビバラエティ的な手法は、サウナーに無理をさせてしまうこともあります。

ただ逆に、サウナの極限状況にもかかわらずCM明けを待たせることができるのはバラエティの凄みとも言えます。(以前、年末にサウナに行った時、『ぐるナイ』のゴチのクビが決まる回が流れていて、ちょうどクビが発表されるタイミングでサウナにいるよう調整しようとした際は、羽鳥アナのあの焦らしを心底憎みました。)

以上のように、テレビとサウナは意外と関係が深いのです。そして、サウナにいてもこういうことを考えてしまうのがメディア研究でもあるかもしれません。

最後になりますが、実はみんなでテレビを見られる場はサウナだけではありません!丹羽研究室では定期的に「みんなでテレビを見る会」を開催しています。毎回、テレビ史上の名作を制作者や研究者、一般の方と一緒に見る会です。サウナに入れない方はぜひそちらに参加してみんなでテレビをご覧ください!