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北カリフォルニア・ベイエリア

作者: Matsui Eko | 2012年10月04日Posted in: フィールドレビュー

みなさん、こんにちは!今回のフィールドレビューは博士課程の松井英光が担当させて頂きます。先週の頭まで、高校・大学時代に約2年間を過ごしたカリフォルニア州北部のベイエリアという地域に行っていました。

私はこのエリアを再訪する度に、かなり刺激を受けて帰るのですが、今回もまた旧友やホームステイ先の家族の生活観やライフスタイルに相当やられて帰って参りました。

そもそも、テレビを筆頭としたエンタテイメントの趨勢が日本より、私が最初に訪れた80年代前半で10年以上、今でも5年以上、ベイエリアは先を行っている感じがします。1983年の時点で、「CATVによる多チャンネル化」が普通の家庭にまで浸透し、「レンタルビデオ」を借りて、「宅配ピザ」を注文し、子供たちは飽きれば「パソコンでゲーム」に熱中しておりました。その後1986年にスタンフォード大学に留学した際には、地元の「CATV局」を研究テーマとして現地リサーチするなど、私自身の現在の研究領域に近い関心が萌芽するきっかけにもなりました。

前回、3年前の2009年9月の訪問では、友人がサンフランシスコに建設したアメリカの最新テレビスタジオを見学しました。「Comcast Sportsnet shows」というCATV局のスタジオでしたが、そこには当時の日本には見られなかったシステムが幾つか存在しておりました。まず度肝を抜かれたのは、照明の全てに「LEDライト」が採用されている事でした。消費電力が従来の20%程度で、やや平板な明かりには感じましたが、スポーツ専門局の照明としては充分すぎるものでありました。日本でもNHK横浜放送局が2010年8月に「オールLEDスタジオ」を実験的に作りましたが、現在もまだ「LED」の波は日本のテレビ局に到達しておりません。ただ、私も担当した『Happy bump.y !!!!!』という番組で実験的にLEDを使用しましたが、やや硬さは残るものの、手軽に凝った照明を作れるような印象があり、今後の本格的導入が期待されます。

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次に驚愕させられたのは、カメラのスウィッチングが事前にコンピュータへプログラミングされていて、スタジオにはフロアディレクターもカメラマンもいない、究極的な人員合理化が実行されていた事です。「CATV局」と言ってもアメリカの枢軸メディアであり、日本の地上波地方局より大きなスタジオを複数保持し、制作番組も4台のカメラを駆使した大規模なものであり、決して「こじんまり」したレベルではないのです。この域までの合理化が日本の地上波放送局に到達することは、少なくともこれから10年間は無いと思われます。

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テレビなどのメディア以外でも、アメリカから「郊外型ショッピングモール」「シネコン」「ウォータースライダー」「セルフガソリンスタンド」など、幾多もの文化システムが日本に輸出されています。今回新たに流行しているシステムとして「屋外映画館」を体験しました。以前より、「ドライブインシアター」と呼ばれる、車で入場する映画館はアメリカでは1950年代から流行し、日本にも輸入されていました。しかし今回は屋外にスクリーンを立て、傾斜地を利用し、座って鑑賞するスタイルのものでした。これは夏季に雨の降らないカリフォルニアならではのエンタテイメントかもしれませんが、野球場での屋外コンサートなど、雨の多い日本にも現在では浸透しており、数年後には一部改善されて流行しているかもしれません。実際に、屋外での夜間映画鑑賞は、タコスなどの出店とセットで楽しく、ロマンチックで贅沢な空間でした。

以上のように、カリフォルニアはエンタテイメント先進地であり、テレビマンとしても参考になる事象が多いですが、その根源は温暖な気候の中、「人生を満喫する」事を最優先させる、彼らの生き方にあると思います。実際、私の友人も海沿いの素晴らしい家に住み、優雅な生活を送っておりますが、2年後には全てを一旦畳んでしまうそうです。その後、家族でクルーザーでの一年半にわたる世界一周ツアーに出発する予定だとか。エンタテイメントに従事する人間でありながら、日々の生活に追われる我々との大きな差異を実感し、いい刺激を受けた一週間でありました。